2007-01-01から1年間の記事一覧

集団極化とメディア

group polarization は、集団極化とも集団分極化*1ともよばれる。長谷部恭男は集団偏向*2 とよんでいるが、同様の意見をもっている者が論議すると、その意見がいっそう強調されるようになるという現象。はてなダイアリー・キーワードでは…… *1:あるいはサイ…

丸山眞男を苅部直はどう読んだか。

丸山眞男。これまでいろいろな意味で注目されてきた知識人であることは疑いようもない。その評伝『丸山眞男―リベラリストの肖像 (岩波新書)』(著:苅部直)を読んだ。

展望示せない総裁選

総裁選でみえてくるもの。とりあえず以下の2つ。 自民党への回帰を図ろうとする思惑。 自民党衰退の今日的姿。

日野原重明さんが語る憲法

日野原さん*1がインタビューに答えて、こう語っている。自らクリスチャンの日野原氏は、日本国憲法を守る意義を説く。話は日米安保条約にも及び、今この時期にたたかう勇気より平和を守る勇気をよびかけている。 *1:日野原重明・聖路加国際病院理事長

価値観と外交

旧聞になるかもしれないが、価値観外交という考えが現われ、議員連盟までできてしまった。安倍晋三氏が辞意を表明したので、その議連の雲行きもいまは定かではない。だが、価値観外交というのはありか。

情報弱者のことを少し。

情報弱者が存在する。 というのは、情報技術の恩恵を受けることのできる人とできない人との間に格差が生じているということだ。高度な技術を得るためにはお金が要るわけだから、これは経済格差だ。その上に、誰もが情報量を増やせる環境のなかにあったとして…

「丸山教」からの批判を追加……

ひとこと追記。 小熊はこんなふうに「丸山教徒」から批判されている。 小熊英二や米谷匡史や姜尚中や苅部直の「丸山真男」は死んだ思想家であり、戦後というモノクロ映像の過去の時代に活躍して役目を終わった思想家である。それは「戦後民主主義」という貶…

「裏切者としてのデビュー」と小熊の眼

小熊英二の著書『日本という国 (よりみちパン!セ)』のなかに「『国の誇り』だった第9条」という項がある。そのなかで小熊は『新しい憲法のはなし』を紹介している。 小熊の言葉を借りれば、戦後の日本は、資本主義と天皇を残したままではあったけれど、民主…

健康にも不平等がある

健康にも不平等がある――近藤克則氏が著書『健康格差社会』でその可能性をずばり指摘したとき、視野がぐっと広がる気がした。社会的な地位や収入の差がどのように健康を脅かし、さらには寿命をも左右するのか、近藤氏の言説によって少し議論がすんだように思…

『茶色の朝』と日常に身をまかせること

透きとおるように晴れわたった空をみて、それを茶色だという人はいないだろう。しかし、それを強制される仕組みができあがったらどうなるのか。私なんかは、ただちに色彩感覚をさも失ったかのごとく以降、「ポストの色は赤、雪は白い」ということすら躊躇す…

『メディア社会―現代を読み解く視点 (岩波新書)』(佐藤卓己)紹介

私たちはテレビやインターネットや携帯電話に囲まれたメディア社会の生活を自ら捨てることはできないだろう。その軽薄さを「古きよき里山」の基準から批判するのは容易である。しかし、それは多くの大衆文化批判と同じく、リベラルそうに見えて傲慢である。…

米国は日本の鏡

米人口統計局が10年ごとに行っている人口統計によると、全人口に占める白人の割合は、減少傾向にある。 1980年⇒83.1% 1990年⇒80.3% 2000年⇒75.1% 一方、2000年の人口統計で、総人口は2億8140万人。うち3110万人(…

鈴木直『輸入学問の功罪−この翻訳わかりますか?』のこと

鈴木直『輸入学問の功罪―この翻訳わかりますか? (ちくま新書)』(ちくま新書)。 触手が動いた一つが「『資本論』の翻訳」という一章だ。そこに、マルクス『資本論』翻訳文体をめぐる攻防戦*1が記されている。いくさを私は好まないが、翻訳の文体をめぐって…

『僕はパパを殺すことに決めた』と権力

奈良県で母子3人が死亡した事件を扱った本*1に供述調書が引用されたことにたいして、奈良地検が強制捜査に乗りだした。 本は、放火したとされる長男の供述調書や鑑定書をほぼそのまま引用したとされている。捜査の対象は、精神鑑定医と著者の草薙厚子氏。医…

最後?の安倍メルマガ。

「安倍内閣メルマガ」*1が届いた。事実上の最後のメルマガになるだろう。辞任にあたっての首相の文章が掲載されている。 安倍氏の辞任は一つの節目にちがいはないので、全文をあげておく。 *1:【安倍内閣メールマガジン 第46号】改革、テロとの闘いを前に…

地デジ計画は頓挫する?

時事通信社が伝えている。 総務省は13日、2011年7月に現行のアナログテレビ放送を停止し、地上デジタル放送に完全移行する時点で、デジタル放送の電波が届かない世帯が30万〜60万世帯程度に上るとの試算を発表した。電波の中継局の整備が遅れてい…

自民党大勝は二正面作戦で(2)

1986年の衆参同時選挙で、中曽根は、「公共事業などの利益誘導政治という従来型の政治で権益を受ける集団に依拠しつつ、都市中間層にも風呂敷をひろげた。たとえば、牛肉・オレンジの自由化。要は両方によい顔をした」*1とのべた。 けれど、3年後に自由…

安倍政権とは何だったか

安倍首相の350日(をとりあえず在任期間とする)を振り返ってみた。花・髪切と思考の浮游空間;安倍政権350日 小泉「構造改革」を引き継ぐという新自由主義的「改革」を続ける一方で、新保守主義的対応が求められる、という2つの任務。この拮抗関係の…

「一億総中流から格差社会へ」のおかしさ

佐藤俊樹氏の著書名『不平等社会日本―さよなら総中流 (中公新書)』に象徴的なように、一億総中流から格差社会へという理解*1が少なくなくあるようだ。 *1:たとえば山田昌弘氏『希望格差社会』>戦後日本社会は、「中流社会」と言われるように、多くの人が「…

自民党大勝は二正面作戦で

小泉9・11選挙(とここではよぶ)*1は自民党が大勝した選挙だけれど、それ以前にも同党が大勝した選挙があった。 中曽根氏の時代の選挙*2で、これは衆参同日選挙だった。自民党は衆院304議席、参院72議席を得た。 *1:第44回衆議院議員総選挙、20…

安倍政権の終焉

きょう以下のエントリをあげたのだが、安倍首相が辞意を表明した。 自民党は、結果的にここまで引っ張ってきた。その良し悪しはつぎの首相に委ねられたということか。ここまでくればこれしか打つ手はないか。相当の深みから出発する次期政権の前にはいずれに…

報われる社会、報われない社会。

「努力すれば報われる社会」*1とは、報われる者と報われない者の存在をもちろん前提にしている。勝ち組・負け組への分化ということになろう。 だから、この社会を語ることの政策的意味というか、「報われる社会」が押し出されるのは、すでにあった(と思われ…

[メモ]玉澤徳一郎は議員辞職が筋

玉澤徳一郎氏は、政治資金収支報告書の領収書を五重計上していた件で自民党を離党した(8月29日)。氏の選出選挙区は、比例・東北ブロック(岩手4区と重複立候補)。現無所属。支部長を務める自民党岩手県第4選挙区総支部の2003年度政治資金収支報…

日米同盟「公然化」で自衛隊も変貌している

戦後、封印されていた日米同盟という言葉を機会あるごとにとりだそうとしてきたのが、日米支配層であった(日米同盟という言葉と鈴木善幸)。 そして、いまや安倍首相が所信表明演説でも公然と語る。民主・前原氏もという具合に、鈴木・レーガン会談当時の攻…

[片言]自然科学真理教のこと

人文科学や社会科学がはたして科学なのかという意見がある。 どんな意見であろうと持つのはいっこうに構わないが、、ひとたび、人文科学や社会科学が科学を名乗るのは僭称ではないかといわれると、この分野の研究者ならずとも心安からずというものではないか…

仮窓0708

■07年8月 アクセスの多かった記事 内田樹氏の格差社会観って……。 納豆ダイエット捏造番組にみるマスメディア 「読売」はジャーナリズムか。社説で「政権担当能力に疑問符」 お騒がせ。今度は防衛省人事騒動。 お騒がせ。クールビズ廃止論。 『もしも世界…

前原語録(2)

下にかかわる。今日、もはや露骨に日米同盟が語られている。前原誠司副代表(民主党)が5日、こうのべた。 日米同盟関係の維持強化が大切。アメリカと同じ歩調を合わせると右からも左からもたたかれる嫌米ナショナリズムの状況が日本に生まれつつあるが、日…

日米同盟という言葉と鈴木善幸

鈴木・レーガン首脳会談*1が1981年5月おこなわれ、日米共同声明が発表された。 声明にはつぎのようなくだりがあった。 首相と大統領は、日米両国間の同盟関係は、民主主義及び自由という両国が共有する価値の下に築かれていることを認め、両国間の連帯…

『シッコ(sicko)』をR25が紹介

R25.jpが『シッコ』を紹介している。 昨年成立した医療改革関連法により、日本の医療制度が大きく変わる。柱は高齢者に対する施策だけれど、自己負担が増えそうな制度もできて、R25世代に関係する項目もチラホラ。少子高齢化が進み、国の財政再建は重…

選ばれる代表数より多い選考レース

世界陸上で日本唯一のメダルをとった土佐礼子。オリンピック代表の座をつかんだ。 そのオリンピック代表選考のあり方については、たびたび物議をかもしてきた。選手選考について、山下佐知子*1が語っている。 *1:第一生命陸上部監督。バルセロナオリンピック…