日米同盟「公然化」で自衛隊も変貌している


戦後、封印されていた日米同盟という言葉を機会あるごとにとりだそうとしてきたのが、日米支配層であった(日米同盟という言葉と鈴木善幸)。
そして、いまや安倍首相が所信表明演説でも公然と語る。民主・前原氏もという具合に、鈴木・レーガン会談当時の攻防がまるでウソのように聞こえる時代となった。
鈴木・レーガン会談以後、たとえば橋本・クリントン首脳会談(96年)では、安保条約にもとづく日米軍事協力は、日本防衛だけでなく、アジア・太平洋全域に拡大することで合意している。この合意にもとづく日米新ガイドラインでは、「周辺事態」においても軍事協力に乗り出すことが決められた。
さらに、2001年には、侵略されていないはずの日本が、アメリカが開始したアフガン戦争に自衛隊を派遣する。事実上の集団的自衛権の行使である。戦闘地域にはいかない、武力行使とは一体化しないという口実で、海上自衛隊艦船による海上給油を認める。この法律がテロ特措法。


つけくわえると、小泉内閣が2003年、自衛隊イラク派兵を決定。この派兵の意味は、「周辺事態」のような、戦闘の可能性のある地域への支援ではなく、現実の戦闘地域にはじめて参戦したことにある。
こうしてみると、イラク派兵は、戦後史の画期をなすといえる。
まさに日米支配層が腐心してきた攻守同盟化の道をすすんでいる。



自衛隊も、これに応じて変貌している。
今年1月、防衛省が創設されたのにつづき、3月には陸上自衛隊中央即応集団が4160名ほどで創設された。
防衛省によると、中央即応集団司令部に国際活動の計画・訓練・指揮を一元的に担当する任務をもつ部隊である。事態発生時には各地に部隊を提供する任務をもつ「殴りこみ部隊」のようだ。
中央即応集団の構成は図のとおり。特殊作戦群は米陸軍のグリーンベレーや同海軍特殊部隊シールズ(SEALS)をまねたものといわれている。
「血の同盟」へ現実にすすみつつある。