自民党大勝は二正面作戦で


小泉9・11選挙(とここではよぶ)*1自民党が大勝した選挙だけれど、それ以前にも同党が大勝した選挙があった。
中曽根氏の時代の選挙*2で、これは衆参同日選挙だった。自民党衆院304議席参院72議席を得た。
小泉、中曽根両首相のこの2つの選挙は、都市中間層を選挙戦略のターゲットにしたという点で共通している。ただし、その扱い方は異なる。
中曽根は、公共事業などの利益誘導政治という従来型の政治で権益を受ける集団に依拠しつつ、都市中間層にも風呂敷をひろげた。たとえば、牛肉・オレンジの自由化。要は両方によい顔をした。

一方の小泉は、従来型の政治で権益を受ける集団を切り捨てた。そして、都市中間層を戦略の基本にすえた。しかし、この中間層のなかにも2通りあって、たとえば郵政民営化に賛成する人と反対する人を区分下上で、最大限支持を広げる戦略をめざしたといえる。彼らのよぶ「A層」と「B層」に分け、本来であれば構造改革に反対してもおかしくはない、痛みを強いられる人たちの広報戦略がとられた。一方で、「A層」にたいしても。


こうみると、中曽根も、小泉も2方面戦略をとったわけだが、中曽根を水平的とよべば、小泉は垂直的な2方面ということだ。
従来型の政治で権益を受ける集団と結びついた、いわゆる族議員の役割は縮小されることになる。地方の、という形容詞をつけるならば地方権益集団は排除されてしまう。
けれど、二正面作戦はうま過ぎる。矛盾をはらんでいる。

続きは、後日。

*1:第44回衆議院議員総選挙、2005年9月11日投票

*2:第38回衆議院議員総選挙・第14回参議院議員通常選挙、1986年7月6日投票