政治

代議制民主主義のあやうさ

今日だけに限られた、特別な事象だとはもちろんいわないけれど、昨年後半からの閣僚たちの失態は目に余る。いうまでもなく失態の一つひとつが政権の首をじわじわと絞めたてていくことは、いまの野田政権の実情をみればただちに了解できる。しかも、「失脚」…

議員定数削減と「わが身を切る」ということ

消費税増税の前にまずわが身を切れ。これが今や当たり前のように何の抵抗もなく語られている。メディアが繰り返し伝えてきたこの「まずわが身を切れ」というメッセージは、議員定数の削減を意味するし、有権者もこの理解をしごく当然ともいうべき態度でむか…

二大政党制は政治の安定をもたらすか

最近、閉塞感という言葉がいたるところで語られている。有権者に引き寄せてそれを考えれば、自らの生活が一向に上向きにならないばかりでなく現状から脱出できるかどうかさえ定かではない現実と、少しもそのジレンマに応答してくれない政治にたいする鬱積し…

八ツ場ダム建設で減電補償金が東電に入る

件の八ツ場ダム。政権の存在意義そのものが四方八方から問われている問題だといえるだろう。野田は苦渋の決断(参照)というのだけれど、はたしてそうなのだろうか。行きつ戻りつしたこの間の経過には、何かしらそれなりの背景があると考えざるをえない。一…

わが身を切れという主張の危うさまたは定数削減

不退転の決意という言葉で消費税増税を打ち上げた野田だが、反発は大きかった。まずわが身を切れという、増税を提起される側からみるとしごく当然とも思える反論が返ってきた。しかし、この主張をそのまま無条件に受け取るわけにはいかない。わが身を切れと…

新テロ法延長の意味・または・民主党の動揺

アメリカの戦争戦略が世界のいたるところでうまくいかなくなっているなかで、米国は、日本にたいする派兵要求をいちだんと強めています。安倍首相が任期中に改憲をやるといっては頓挫し、その後のテロ対策特措法の延長さえ危ぶまれる状況にあったわけですか…

橋下発言との親和性。

橋下大阪府知事がまた物議をかもしている。問題答弁のパレード状態にも思えるが、気になったのは以下の部分。 橋下知事、“過激答弁”連発 相次ぎ議事録削除10日にも共産党府議に「主張を通されたいのなら多数派をとってからぶつけていただきたい」と答弁 日…

「労務借り上げ」という癒着ー防衛省

防衛省が利権の温床になっていることはいまや誰もが知る事実。 その防衛省の尋常でない実態はこんなところにも。

Nスペの語ったもの、語らないもの。

「花・髪切と思考の浮游空間」に以下の記事を公開しています。Nスペ「自民VS民主 二大政党はどこに向かうのか」の語ったもの。

この年の政治。安倍辞任劇から大連立まで。

「花・髪切と思考の浮游空間」に以下の記事を公開した。この国の07年政治−安倍退陣から大連立へ

豪総選挙、対米追随を投影。

オーストラリア総選挙で保守連合を破って労働党が勝利したという結果より、私の関心は何よりも、対米追随の姿勢にたいする強い批判が現政権の敗北をもたらしたということだ。ブッシュ政権の国際的影響力はますます低下している。これを裏づけるオーストラリ…

小沢の辞任はいったい…。

「花・髪切と思考の浮游空間」に以下を公開しています。 小沢氏;自民党政治を維持しようとした。 小沢辞任を読む

右往左往する政権交代真理教

政権交代を盛んに説き、それに固執してきたのは、ほかならぬ小沢一郎だ。彼の強力なイニシアチブがあったればこそ、政権交代間近に迫ったというのが大方の民主党国会議員の認識なのだろう。昨日、小沢氏が辞任会見した際、コメントを求められて原口一博の発…

小沢一郎の代表辞任

議事堂には「まさか」という「坂」があるといわれている。小沢の辞任にまでいたった、福田・小沢の秘密会談。これが大きな揺れの震源だといえる。結果は、小沢本人の意思とは別に動いたということになる。周囲に分かりづらい一連の流れで、小沢らしいといえ…

福田政権の「宿命」

福田政権が誕生し、内閣の性格づけについて議論が飛び交っている。組閣の経過をみて「古い自民党に戻った」とか、あるいは新政権は「ハト派」だとか…。分からぬでもないが、いま一つ、的を射ていないような気がする。福田政権にそもそも選択肢があるのか、あ…

展望示せない総裁選

総裁選でみえてくるもの。とりあえず以下の2つ。 自民党への回帰を図ろうとする思惑。 自民党衰退の今日的姿。

価値観と外交

旧聞になるかもしれないが、価値観外交という考えが現われ、議員連盟までできてしまった。安倍晋三氏が辞意を表明したので、その議連の雲行きもいまは定かではない。だが、価値観外交というのはありか。

「裏切者としてのデビュー」と小熊の眼

小熊英二の著書『日本という国 (よりみちパン!セ)』のなかに「『国の誇り』だった第9条」という項がある。そのなかで小熊は『新しい憲法のはなし』を紹介している。 小熊の言葉を借りれば、戦後の日本は、資本主義と天皇を残したままではあったけれど、民主…

自民党大勝は二正面作戦で(2)

1986年の衆参同時選挙で、中曽根は、「公共事業などの利益誘導政治という従来型の政治で権益を受ける集団に依拠しつつ、都市中間層にも風呂敷をひろげた。たとえば、牛肉・オレンジの自由化。要は両方によい顔をした」*1とのべた。 けれど、3年後に自由…

自民党大勝は二正面作戦で

小泉9・11選挙(とここではよぶ)*1は自民党が大勝した選挙だけれど、それ以前にも同党が大勝した選挙があった。 中曽根氏の時代の選挙*2で、これは衆参同日選挙だった。自民党は衆院304議席、参院72議席を得た。 *1:第44回衆議院議員総選挙、20…

日米同盟「公然化」で自衛隊も変貌している

戦後、封印されていた日米同盟という言葉を機会あるごとにとりだそうとしてきたのが、日米支配層であった(日米同盟という言葉と鈴木善幸)。 そして、いまや安倍首相が所信表明演説でも公然と語る。民主・前原氏もという具合に、鈴木・レーガン会談当時の攻…

日米同盟という言葉と鈴木善幸

鈴木・レーガン首脳会談*1が1981年5月おこなわれ、日米共同声明が発表された。 声明にはつぎのようなくだりがあった。 首相と大統領は、日米両国間の同盟関係は、民主主義及び自由という両国が共有する価値の下に築かれていることを認め、両国間の連帯…

自民と民主を足せば…

7月の参院選で当選した自民、民主両党の議員は、「郵政解散」で自民が圧勝した05年衆院選で当選した議員に比べ、構造改革より旧来の「日本型システム」を維持する考えの強いことが、朝日新聞社と東京大学蒲島郁夫、谷口将紀両研究室が実施した共同調査で…

軍事情報保護協定に関する見解

軍事情報保護協定 国民の目をふさぐ危険な狙い(「しんぶん赤旗」主張8・20、全文)

政党「コミ戦」に乗るメディア

コミ戦は本来、政党のPRだろう。 実際、9・11選挙では極論すれば自民党コミ戦の意のままに事がすすんだ。この教訓がいかされているのかどうか、メディアの対応には疑問符がつく。 安倍首相はこれまで、定石どおり先手をうって憲法を強く打ち出すなど争…

「政教分離」をトルコの政情不安から考える

政権を揺るがしかねない事件続出のなかで、政府提案の法案が次つぎに国会を通過する異常。いくら数の上で圧倒しているとはいえ、尋常ではない。 週刊誌でも、「自公連立“安倍暴走”政権『創価学会選挙』は違憲? 合憲?」などというタイトルで、この国会です…

日本会議議連会員らが新たな議連

改憲を主張する日本会議議連の会員らが13日、新たな議連を結成予定。 会の名は、「中国の抗日記念館から不当な写真の撤去を求める国会議員の会」。自民、民主、国民新党などによびかける。入会のよびかけには「中国各地の抗日記念館に展示されている多くの…

政治のなかの「今・ここ主義」

新著『日本文化における時間と空間』で加藤周一は、「今=ここに生きる」という日本的特徴について詳細にふれている。この特徴に加藤が言及するのはむろん今回がはじめてではない。加藤の指摘にふれるたびに、これは日本人のものの考え方を実によくいいあて…

国民投票法;運動の制限はじめにありき

法案提出者が答弁に窮する場面がしばしば国会審議でみられる国民投票法案。論戦で、法案の矛盾も浮き彫りにされている。だが、メディアはそれをほとんど報道しない。法案は、国民投票に関する国民の運動を制限している。国の意思決定をおこなうにあたって、…