「労務借り上げ」という癒着ー防衛省


防衛省が利権の温床になっていることはいまや誰もが知る事実。
その防衛省の尋常でない実態はこんなところにも。
労務借り上げ」という名で企業に日当10万円以上も支払っている事実が明らかにされた*1
労務借り上げ」とは、防衛省の装備品について開発研究をする技術研究本部が、試験や設計をする際に、不足する労務を民間企業から借上げるというもの。

開発に参加した企業は、試験にも参加すれば高い日当をもらい、開発にメドがつき量産体制に入ったときも受注することにより大きな利益を上げるしくみだ。
この日当が労働の対価としてふさわしいものであれば問題はないのだろうが、なにしろ20日分で200万円以上にもなるという高額だから、一般の企業で開発や研究に従事する労働者と比較して、破格の報酬であることにちがいはない。最高額は16万7092円(ダイセル化学工業)、日本電気も15万445円。上位20社の平均でも、06年度(9万8759円)より増え、10万5889円に達している。
http://inoue-satoshi.com/sf2_diary/sf2_diary/20071225.html#2285
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-12-28/2007122815_01_0.html


防衛省によれば、日当の額は、各企業が実施している原価計算の方法を基礎としているということらしい。だが、事実上、企業側の言い値になっている。「労務借り上げ」も随意契約。軍需企業との癒着は底なしの関係がつづき、防衛省が利権あさりで食い物にされる。

守屋武昌容疑者が防衛省の装備品調達をめぐって、その影響力をフルに発揮できたのは、調達は、随意契約の割合がきわめて高いという実態があったからだし、同じく関与したとされる久間氏も、軍用機などの機種の選定や、「長官からの指示」でその選定した機種にかかわって特定の業者との随意契約を命じる権限がもつ防衛庁長官だったわけだ。

アメリカの戦争を本格的に支援することを目指そうとしている日本ならば、日米の軍事利権は計り知れないほどのスケールをもつ。
癒着の構造を断つためには、?軍需調達での随意契約をやめさせ、?防衛官僚の天下りを禁止する、?軍需産業からの政治献金を禁止させなければならないのでは。

*1:国会質問で明らかにされた後、諮問委員会で報告され、こんなやりとりがされている。第52回防衛調達審議会議事要旨防衛省ホームページ)