政党「コミ戦」に乗るメディア
コミ戦は本来、政党のPRだろう。
実際、9・11選挙では極論すれば自民党コミ戦の意のままに事がすすんだ。この教訓がいかされているのかどうか、メディアの対応には疑問符がつく。
安倍首相はこれまで、定石どおり先手をうって憲法を強く打ち出すなど争点づくりに務めてきたのだが、思惑どおりには少なくともすすんでいない。争点を絞りきれないことに加えて、安倍の総理としての資質にも目をむけはじめたのか、最近の世論調査では、自民党の支持率低下はいちだんと加速している。
http://www.asahi.com/politics/update/0715/TKY200707150387.html?ref=goo
だから、今後、自民党がどのようにコミ戦の教訓をいかすか、これが同党にとっては大敗を回避する、数少ない方途になってきた。上の朝日記事によるかぎり、年金記録の問題、そして赤木農水相の事務所費問題など、どれをとっても自民党にとって分が悪い。
自民党も背に腹はかえられない。ついに、「サンデープロジェクト」で党首生出演と銘うった企画を「登場させ」、安倍・太田でこの時間帯を独占した。連続企画だから、あと1回はせいぜい自公をのぞく他党一同の出演だろう。場合によっては、再度安倍、太田が登場することも考えられる。
自公は、国民がいまだに尾をひくような不安をいだき、解決を望んでいる年金問題では、いまの局面で、社保庁解体を前面に押し出し、労組攻撃とからめて民主党を攻撃するという戦術をとっているようにみえる。そして今一つは年金の制度設計で民主党を攻めるというものだ。はたして奏功するか?
コミ戦は本来、政党のPRだといったが、メディア側にはネガティブな視点からの報道もまた求められているのではないか。選挙報道では悪いところを書かないというのが「定説」となっているかのようだが、特定の政党や候補者ということではなく、政策的弱点や資質にも言及することが不可欠ではないのか。
「サンデープロジェクト」が典型だろうが、この番組に限らず、政党の戦略にひきまわされた9・11からメディアが何かをつかんだとは、さらさら思えない。