片言

反貧困の流れを広げることについて

年がかわろうとするときに、つぎつぎに発表される解雇とその計画を到底、黙認することは私にはできません。したがって、このところ、この問題に力点をおいてエントリーを繰り返してきました。そのエントリーの一つに、「労働者」というHNをもつ方からご意…

追悼− 加藤周一の眼

その死が伝えられたとき、さまざまな思いはめぐったのだが、書こうにもその気力は微塵もなかった。かろうじて翌日、数行の文章をエントリーした。加藤の自伝的文章は周知のように『羊の歌』だが、2008年12月5日でもって、その終章が完結したといえる…

横浜事件− 無罪はもちろん、権力犯罪の全容解明が必要だ

人の思想を処罰してきたのが治安維持法ならば、横浜事件は、それを最も大規模に具現化した言論弾圧だ。拷問し、虚偽の自白を強要した特高。自白だけを証拠にして有罪判決を出した裁判官。本来、問われるべきは彼らだ。横浜事件の第4次再審請求で地裁の開始…

大企業にモノがいえないなんて。

記事が紹介するように年収200万円に満たない人が1000万人を超えるという事象は、今日の日本社会の貧困の深刻さを端的に物語るものだろう。貧困がマスメディアで今ほどさまざまな切り口で語られる時代も、知るかぎり無かったように思う。日頃、人権と…

裁判員制度は動きだせるのだろうか。

まずは、最高裁判所の説明から。 http://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/index.html平成16年5月21日「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が,成立し,平成21年5月21日から裁判員制度が実施されます。 裁判員制度とは,国民のみなさんに裁判員…

消費税で貧困拡大は避けられない。

消費税が導入されたのは1989年。 バブル景気の真っ盛りだった。 貧困と格差を、どんな立場の人であれ少なからず感じ取れるような今日では、庶民の給与や年金の目減りというものの一つひとつに頓着せざるをえない。 最近では、原油価格の高騰の結果、全国…

孤立死と社会は衝突するのか…

孤独死の問題を以前にとりあげたことがある。 その際、エントリでは、実際に、情報の共有化をすすめる際の障壁があることを指摘した。 一人暮らしの中には、単に相手がいない/いなくなったというだけでなくて、さまざまな事情で独居を選ばざるをえなかったり…

自己責任、自助努力という呪縛。

貧困に直面すると、受診を控えようという意識が働く。「受診抑制」を自ら選ぶのである。正しくは、それを選択させられるということだ。 この点について言及した(id:coleo:20080312:1205318473)。エントリーでは、国民健康保険を滞納した者がどのような受診…

山口二郎氏へ。現在の税のあり方をみつめよ。

増税の口実に社会保障を支えるためにという言葉がもちいられている。それだけではなくて、福祉国家をめざすには消費税増税という選択肢以外にはないかのような言説がある。 かつて消費税を導入しようとする際、直間比率を為政者は語ったものだった。しかし、…

「クローズアップ現代」の鳴らした警鐘。

世界に冠たる日本の国民皆保険制度。だれもが同じように医療の提供を受ける枠組みをつくりえたのだから。 しかし、全国民を何らかの保険で網羅するためには、社会保険でない、それでくくられない階層を保険制度に組み込む必要が当然あった。それが国民健康保…

小沢退場で終わった茶番。

新テロ特措法が成立してしまった。自公の態度は暴挙という言葉にふさわしいものだ。世論調査によるかぎり、国民の意識と同法の成立は完全に相反している。 そして、成立する瞬間、議場には民主党・小沢代表の姿はなかった。 野党第一党の党首としての彼の不…

「世界最高の所得水準を実現する」の欺瞞性

日本には2人の総理がいるといわれている。そのうちの一人、財界総理の御手洗富士夫経団連会長が所感をのべている。 10年内に世界最高の所得水準を実現する政策結集が必要=経団連

消費税増税−社会保障目的という方便

社会保障を支えるための財源は消費税以外にはないのか。これが大きな論点になってきた。 政府は消費税増税が既定の路線であるかのようにいうし、自民税調、政府税調も同様で、まるで選択肢は他にないといわんばかりの合唱を繰り返している。そこに、民主党が…

朝日社説があおる消費税増税

朝日新聞が9日付で「消費増税なしに安心は買えぬ」と題する社説をかかげている。以下にのべる理由で、この時期に朝日新聞が消費税増税の論陣をはった意味は重大だと考える。

緊張高まる中南米。

日経のベタ記事(12・17);「改憲案反発し4県『自治』」からの引用。 南米ボリビアで15日、民族主義色が濃い憲法改正案に反発して、同国に9つある県のうちサンタクルスなど4県の知事が「自治」を宣言した。改憲を勧めるモラレス大統領が「大地主た…

党首討論では密室協議を再現したら。

党首討論「機会あればいつでも」 民主・小沢代表が反論(朝日新聞)福田首相と民主党の小沢代表の党首討論が今国会で一度も行われていないことについて、小沢代表は11日の記者会見で「党首討論は私が主張して導入した制度だ。機会があれば、いつでも応じる…

日本の中の民間軍事会社

民間軍事会社の日本での動向にふれた記事は、ほかに見当たらない。 この記事が伝えるのは、2つのことだろう。一つは、もちろん日本でも米国の軍事会社が行動しているという事実。いま一つは日米地位協定の壁があって、この会社の行為が法にふれる場合も日本…

ひれふす小泉

小泉氏、米大統領にひれ伏す サミット秘話、写真は載せず(共同通信) このニュースが伝えるのは、ひれふす小泉の姿が日米関係の象徴だということ。 花・髪切と思考の浮游空間; ひれふす小泉氏と安保条約で言及した。

医療費が国をほろぼすのか…。

医療費がふくらみすぎてこのままでは日本をつぶしてしまう―。 この考えは、1983年の吉村仁氏(厚生省保険局長・当時)の主張に端を発している。以来、医療費を抑制することを中心に医療行政がすすめられてきた。 老人の医療は枯れ木に水をやるようなもの…

日米同盟「公然化」で自衛隊も変貌している

戦後、封印されていた日米同盟という言葉を機会あるごとにとりだそうとしてきたのが、日米支配層であった(日米同盟という言葉と鈴木善幸)。 そして、いまや安倍首相が所信表明演説でも公然と語る。民主・前原氏もという具合に、鈴木・レーガン会談当時の攻…

「あるある」報告書;窒息するメディア

「発掘! あるある大事典?」の納豆ダイエット捏造事件は、放送界のかかえる問題を私たちの前に表出させた。当ブログでは、納豆ダイエット捏造番組にみるマスメディアで、捏造に結びつく要因に商業主義があると指摘して、こうのべまた。 メディアの取材が過度…

To err is human;安全とは何か

以下の報道によれば、ミンチ偽装もワンマン体制に主因があるということだろうか。ワンマン社長「混ぜれば逆にうまくなる」 ミンチ偽装(朝日新聞6・25) - goo ニュース 「雲の上の人だから、何も反対できなかった」。ミートホープ社の工場長は、田中稔社…

松岡農水相自殺をめぐって 〜政治資金オンブズマンの告発はどうなるのか〜

松岡利勝氏の自殺によって、「政治とカネ」をめぐる疑惑に蓋がされかねないという懸念がふつふつと沸いてくる。国会で「政治とカネ」問題をどう扱うのか、望み薄だが、各党と政治家のふるまいに関心を寄せざるをえない。 同時に、政治資金オンブズマンの阪口…

政治のなかの「今・ここ主義」

新著『日本文化における時間と空間』で加藤周一は、「今=ここに生きる」という日本的特徴について詳細にふれている。この特徴に加藤が言及するのはむろん今回がはじめてではない。加藤の指摘にふれるたびに、これは日本人のものの考え方を実によくいいあて…

国民投票法案と二大政党制

高村薫氏が「安倍政権誕生から7カ月」というタイトルで、その政権を分析している(西日本新聞5・10)。私は氏の主張にほとんど同意する。 発足当初から閣僚や税調会長の辞任がつづき、政権を支える肝心の屋台骨が危ういのが、いわば安倍政権の常態だった…

改憲への青写真

改憲手続き法案成立後の青写真を自民党がすでに描いていることが明らかになった。「しんぶん赤旗」(5・1)が伝えている。 それによると、改憲手続き法案の成立後、2011年夏に国会で改憲を発議、同年秋には国民投票を実施するという行程が示されている…

国民投票法;運動の制限はじめにありき

法案提出者が答弁に窮する場面がしばしば国会審議でみられる国民投票法案。論戦で、法案の矛盾も浮き彫りにされている。だが、メディアはそれをほとんど報道しない。法案は、国民投票に関する国民の運動を制限している。国の意思決定をおこなうにあたって、…