匿名献金という隠れ蓑


小沢氏につづき、鳩山氏も「政治とカネ」問題が急所となっている。
朝日が25日、伝えるところによれば、04年から08年分の政治資金収支報告書に記載された約1.8億円の小口献金の大半が、鳩山氏の資金管理会社「六幸商会」の管理資金だったという。偽装献金の疑いが強まった。

匿名献金の大半、鳩山家から 偽装総額2億円に

偽装献金が疑われているのは、つぎの点にかかわっている。


政治資金規正法は、政治団体にすべての収支を記載した会計帳簿の管理を義務付けており、寄付者の名前、金額、日付などを記載しなければならない。収支報告書には、年間5万円超の寄付分について、会計帳簿から名前を抜き出して1件ごとに記載し、5万円以下の分は匿名のまま総額だけを記載すればよい。

一定額のカネを、5万円以下の寄付を受けたことにすれば報告書に誰から受けたのか、記載する必要がないからだ。
こうして、調べによれば、04年から08年分で、個人献金総額2億8643万円のうち、匿名分は61%、約1.8億円にのぼる。

だが、政治資金規正法では、政治家個人は資金管理団体に年額1000万円まで、一般の個人は150万円までと上限が定められている。鳩山氏の資金管理会社「六幸商会」では、一定の額がまとまると、それを5万円以下の寄付に分散させて、献金総額にふくめていたという。

すでに氏の資金管理団体の収支報告書で故人から寄付を受けていたように報告されていた件で、自らの資産であったことを認め2000万円を修正している。

事態は、5万円を超える部分で多くの虚偽記載があって、したがって5万円以下でも偽装献金があるのではないか、こんな疑惑を解明する方向に動いてきた。
政治資金規正法は、政治資金を公開し、国民の「不断の監視と批判」のもとに置くことを定めている。収支報告書の虚偽記載を禁止し、名義を偽った献金も禁止している。
鳩山氏はこの点で政治資金規正法違反といわれても弁解の余地はない。巨額の届け出をなぜ偽装したのか、もともとはどんな金だったのかを、氏には説明する責任がある。
ヤミ献金、不正な献金の疑いはいよいよ強まる。
(「世相を拾う」09233)