泣くのは労働者か・・・。

「花・髪切と思考の浮游空間」に以下の記事を公開しています。

麻生「医師不足」問題発言と構造改革継承

麻生首相がこんなことをいったそうです(参照)。

地方の病院での医者の確保の話だが、自分で病院経営しているから言うわけじゃないが大変だ。社会的常識がかなり欠落している人が多いんで。

まあ、やり玉にあげられた医師にすれば、あんたには言われたくない、ということではないでしょうか。
けれども、この発言が医師不足と結合させて語られているところに問題があると思います。とはいえ、首相は、自身がふれたように麻生飯塚病院の経営者でもある。医師不足の実態もまた、理解していて当然です。求人情報を恒常的にホームページで流しているのですから。発言のなかでたしかに現状についてふれてはいる。

つけ加えれば、麻生飯塚病院は、株式会社立でもある。病院経営コンサルトもやっているのです。
医療とそれに関連する分野を、いわば利益追求を目的とする企業として扱っているのですから、そこにはおのずと、医療は公的責任でとする立場とは異なるものがあるとみてよいでしょう。したがって、医療を、そして患者をみる眼もちがうということです。
こんな企業の総帥が麻生首相自身です。
その彼の国民との感覚のずれは、彼が政治家を志したそのときから世に知られることになりました。下々のみなさんなどとよびかけたのは、余りにも有名です。

そこで、話を元に戻すと、医師不足について首相はこうのべています。

トヨタの横暴− 労働者はこうして切り捨てられる

人員削減の事実を伝えることは仮にあっても、トヨタ減益を衝撃ととらえ、それを大々的に報じるのがマスメディアの実態でしょう。
けれど、減益とはいっても6000億円の経常利益を見込んでいるのです。しかも、その利益確保のために働く者を切り捨てるというのですから、地域の雇用を守るという点での大企業の社会的責任が問われるのではないでしょうか。
企業は経営者、株主だけでなく、そこで働く労働者から成り立っており、商品を買うのは消費者です。企業はこの意味で、地域の支えがなければ存立しえない。企業には雇用の責任があるのです。企業さえ利益確保すればよいとし、労働者も地域も犠牲にしてよいのか、これを今、問わねばなりません。


トヨタの労働者に徹底して犠牲を転嫁する姿勢は、たとえば最近の「派遣使い回し」で明らかです。繰り返せば、「派遣使い回し」とは、派遣労働には「臨時的・一時的」という原則があって、そのため労働者派遣法には最大3年という派遣労働の制限がある。それを超えると派遣先企業は労働者に直接雇用を申し込む義務が発生するのです。
それをのがれるために、トヨタ車体は、使い回しをやっていたのです。つまり、A直、B直の2つのグループを「三カ月と一日」(*1)の期間で交互に移動させ、派遣社員を永続的に使いまわしていたのです。

この事実をはたしてメディアが伝えたでしょうか。しんぶん赤旗がこれを伝えたのですが、残念ながら、日本のマスメディアは大企業に弱い。ましてや日本最大の製造業、トヨタが広告宣伝費を片方でちらつかせると、もう腰が引けてしまうのです。三大紙が「使い回し」を報道した事実はないようです。10月に共産党の志位委員長がこの問題をとりあげると、その一月後にトヨタ車体はこれを中止しました。
労働者派遣法からの重大な逸脱を、トヨタが知らないはずはないのですが、「法の解釈がまちがっていた」という釈明でした。

それだけではありません。
本日の「しんぶん赤旗」によれば、トヨタが法で義務づけられた届けもせずに2000人を解雇したというのです。雇用対策法では、人員削減(1カ月に30人以上)をおこなう場合、職業安定所に届け出なくてはなりません。これに反していたのです。

これまた共産党の追及です。参院厚生労働委員会小池晃議員が、厚労省まとめの人員削減報告にトヨタの雇い止めが反映していない点を質問したのです(参照)。
あわてたトヨタは質問の翌日に届け出たということです。
ここでも、トヨタは、期間満了による雇い止めは(届出の)対象外だと理解していたと釈明したというのですから、トヨタの法をも無視してはばからない横暴ぶりが、ここに表われているのではないでしょうか。
世界に冠たるトヨタコンプライアンスというものを知らないはずはなく、当然、承知していたと私は思うのですが、それでもトヨタには遵法という言葉がないかのような環境がすでにあるということを、この事実は裏づけているように思います。
つまり、監督官庁も見逃し、政治も見過ごすという…。

メディアには広告宣伝費で、政党には企業献金をばらまくことで、自らの権益を最大限、確保するという大企業。
まさに今、奥田氏が脅しを利かしたように、日本社会が、そして政治でも大企業の横暴や勝手がはびこる事態にあるということでしょう。
日本社会のゆがみをもたらす、財界・大企業の横暴・勝手を許し、優遇する政治の転換が求められているのではないでしょうか。
(「世相を拾う」08239)


*1;「クーリング期間」といわれています。

トヨタ関連記事】

最近の当ブログのトヨタ関連記事をあげてみました。

トヨタがにらむと、こんな記事になる。。。
トヨタがにらむと、こんな事実が隠される
世は大企業の天下なのか− トヨタ・奥田発言
大企業の横暴と「正社員になりたい」という思い。
利益が第一。景気回復はどうなる。。− トヨタの派遣削減
トヨタ大幅減益で労働者切り捨て。これでよいのか