世相を拾う(10月20日)


「花・髪切と思考の浮游空間」に以下の記事を公開しています。

新テロ法延長法案− 戦争の深みにはまるのか

新テロ法延長法案が重大な局面を迎えています。来年1月以降もインド洋での海自の給油活動を継続するという内容ですが、衆院委員会をたった2日間の審議で採決し、自・公、民主は、衆院を21日に通過させようとしています。

民主党は、早期解散のために採決を急ぐというのですが、これは本末転倒でしょう。米国のアフガニスタンでの戦争がいきづまり、現地政府をふくめて政治的解決を求める声は日増しに強まっているのに。戦争で事態は解決できない。
ところが、米国は、日本の協力をさらに要求し、以下のように、アフガニスタンへ本土への自衛隊派遣を求めています(*1)から、事は重大です。こんな状況もふまえてみれば、給油活動の継続は、米国のすすめる戦争への加担をいっそう加速する道だということははっきりしています。


アフガンに自衛隊ヘリを、米が日本に派遣を打診

米国が日本に、アフガニスタンの復興支援活動として自衛隊ヘリコプターの派遣などを打診していたことが18日、分かった。

 具体的には〈1〉CH47輸送ヘリによるアフガン国内の輸送〈2〉C130輸送機による海外からアフガンの拠点空港への輸送〈3〉地方復興チーム(PRT)への人的貢献――の3分野。インド洋での海上自衛隊の給油活動の継続に加えて、米側がアフガン本土での日本の貢献拡大に期待していることが改めて浮き彫りになった。

ところが、麻生首相は、航空観閲式で、給油活動にふれて「この活動から手を引く選択はない」とまで、いいきりました。

さらにいえば、新テロ法案をめぐる政府・自民党民主党の間では、海外派兵の「恒久法」の検討や「海賊対策」のためソマリア沖への自衛隊派兵まで持ち出されていることも軽視することはできません。
共産党がこうした動きを批判しているのはいうまでもありませんが、さすがに社民党・福島党首も、民主党の姿勢と同党の対案について「ある意味、政府案よりもひどい中身だ」と批判しました。

政府も民主党も日米同盟を「不変」「第一」とする点では一致。これでは、運命共同体よろしく、アメリカの無法な戦争の深みにはまるほかはありません。
日本の果たすべき役割は、同じアジアの国として、戦争支援をやめアフガン問題の政治的解決のために努力することではないでしょうか。そのためのイニシャチブの発揮こそ必要でしょう。
この点で、自公と民主党の姿勢は強く批判されなければなりません。
自公政権からの「交代」を呪文のように繰り返すだけの言説もまた、きびしく問われているということです。
(「世相を拾う」08209)

*1;しんぶん赤旗」は、すでに7月に米国からの打診、働きかけがあったことを伝えています。

アメリカは七月に大統領特使を日本に派遣し、アフガン本土への自衛隊の派兵に加え、戦費を日本にも負担するよう要求しています。河村建夫官房長官は、「正式に要請があれば検討する」といっています(10・20主張)