世相を拾う(10月16日)

マスメディアに支えられる二大政党

長谷川千秋氏(元朝日新聞大阪本社編集局長)がこう書いている。

不公正な選挙報道に駆り立てる21世紀臨調の提言

新しい日本をつくる国民会議21世紀臨調)が9月25日、「総選挙に向けての緊急提言〜来る総選挙を歴史的な政権選択選挙とするための条件整備〜」を発表した。21世紀臨調は、「政治改革の推進」を目的とし「政権交代可能な政党政治の実現」を当面の目標の眼目とする、各界の有識者による運動体である(http://www.secj.jp参照)。今回の提言は、一部の新聞に小さく扱われただけだったが、不公正な選挙報道を促すきわめて危険な内容が盛られている。市民・有権者のみなさんに注意を喚起したい。

言いたいことはたくさんあるが、この際、一点に絞る。緊急提言の冒頭に掲げられた「首相候補同士の党首討論を」についてである。提言は、自民・公明党の連立与党と民主党首相候補同士による論戦を繰り広げ、総選挙を名実ともに「首相候補」「政権公約」「政権枠組み」を一体的に選択する「政権選択選挙」とする責務があるとし、連立与党と民主党はそのための努力を精力的に行うべきであり、21世紀臨調としても首相候補同士による対決型の党首討論を主催する意思を表明し、双方に申し入れるものである―としている。私は有権者の1人としてこの提案に反対する。麻生太郎自民党総裁(首相)と小沢一郎民主党代表ふたりだけの党首討論がマスコミに仰々しく取り上げられ、不公正な選挙報道となって私たち国民の「知る権利」を侵害するからである。党首討論を行うなら、最低限、総選挙をたたかうすべての与野党党首の参加と発言が保障されなくてはならないし、何をどう議論するかももっと吟味されなくてはならない。


選挙は、私たちが主権者として日本の政治の現状と未来に対する意思を直接表明するきわめて重要な機会である。議会制民主主義を尊重するなら、何よりもまず主権者に、政治諸勢力の主張、政策等の判断材料が公正な形で豊富に提供されなくてはならない。21世紀臨調が「2大政党論」を主張するのは自由だが、今回緊急提言での「基本認識」に書かれているように、来る総選挙が「日本の民主政治の真価を問う選挙」だと言うなら、少数野党を切り捨てた党首討論を推進しておいて何が民主政治か、と言いたい。 

氏の発言につけくわえることはない。
自民、民主の対決こそが政治の核心であるかのように主張しながら、二大政党政治というものが、実は共産党をはじめ少数政党を排除することにねらいがあることを氏は明確に指摘している。

今日の政治のゆきづまりは、財界・大企業を優遇し、米国追随の積み重ねによってもたらされている。
財界・大企業が後押しする「21世紀臨調」が選挙報道を独占し、世論操作を露骨に打ち出そうとするのも、この財界・大企業、米国追随を保持したいがためだ。
そして、早期解散のみくろみがはずれ、国会論戦上の対決どころか、自民党民主党が協調していく姿は端的にこの流れの本質を示している。
財界・大企業の選挙報道ジャックを許してはならない。

ぜひ長谷川氏の文章全文をご一読ください。
(「世相を拾う」08205)

追記;21世紀臨調」のメンバーが以下に掲載されています。
http://www.secj.jp/what_21st.htm#421

この件を「しんぶん赤旗」(10月16日)が報じています。

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