松岡農水相自殺をめぐって 〜政治資金オンブズマンの告発はどうなるのか〜


松岡利勝氏の自殺によって、「政治とカネ」をめぐる疑惑に蓋がされかねないという懸念がふつふつと沸いてくる。国会で「政治とカネ」問題をどう扱うのか、望み薄だが、各党と政治家のふるまいに関心を寄せざるをえない。
同時に、政治資金オンブズマンの阪口徳雄弁護士らがおこなった松岡利勝氏らの告発は、松岡氏の死によってどうなるのか。
阪口弁護士が自らのブログ;弁護士阪口徳雄の自由発言で語っている。以下、引用する。

告発は生きている人間に対して、刑罰を科すように求める内容であるから、被疑者が死亡した以上、公判請求は出来ない。よく言われるように、『被疑者死亡で、不起訴になる』普通は捜査は打ち切られる。
政治資金管理団体の代表が死亡したのだから、真相はヤミに葬られる可能性が高い。しかし被告発人は亡松岡利勝氏だけでなくこの政治団体の会計責任者も告発している。

≪被告発人青木昭二の下記の行為は政治資金規正法25条1項3号違反≫
http://homepage2.nifty.com/~matsuyama/matsuoka/matsuoka_kokuhatsujou.html

会計責任者が、会計帳簿や領収書類を保管をしているわけだから、東京地検の捜査が継続するし、この真相を、客観的証拠に基づき、解明する責任が逆に生じた。
何故なら、今回の多くの市民の告発をうけたあと、検察は身柄を逮捕、確保するなどの処置を講じれば今回のような不幸には至らなかった。
モタモタ捜査が、被疑者の自殺の原因ではないが、被疑者の自殺を防止できなかった、一つの要因という批判が妥当する。

法務省のサイトに≪被疑者死亡の場合の捜査≫について興味深い検事の体験談が記載されていた。

http://www.moj.go.jp/KANBOU/KENJI/kenji08-01.html

【捜査線上に浮かんだ被疑者は,警察の任意の取調べで完全否認をしたまま,帰宅直後に自殺してしまった。警察から被疑者死亡として事件送致を受けたが,これを不起訴とするほかないとしても,被害者の遺族のために検事としていったい何ができるだろうかと思い悩んだ。被害者の遺族に対し,事実関係を証拠に基づいて説明し,検事としては,自殺したこの被疑者こそが犯人と判断していることを伝えることが,遺族に対する責務と考え,膨大な事件記録を精査し,事実経過とそれを裏付ける証拠をメモに起こした。そして,そのメモに沿って遺族に説明をしたところ,「誰も事件の真相を教えてくれないのかと思っていたが,検事さんから教えてもらえて助かった」と涙ながらに感謝された】

東京地検の特捜部は、亡松岡利勝氏の死亡に関わらず、今回の水光熱費問題を解明し、国民に上記検事のように、説明する義務がある。
そうすれば『国会で、安倍内閣や与党議員が必死になって隠した真実を、検事さんから教えてもらって、政治とカネの一部が解明できた』と国民は感謝する。

氏らの告発は、生きている人間に対してのものだから、松岡氏にたいする公判請求は成り立たない。だが、会計責任者をも告発している。そして、阪口氏は、被疑者の自殺を防止できなかった東京地検の特捜部の、怠慢−意識的なのだろうか−を批判している。

東京地検が氏の指摘にこたえて真相究明にあたるだけでなく、国会には「政治とカネ」問題でみるべき論戦を強く期待したいのだが。