マヨネーズ値上げと農作物自給率


キューピーマヨネーズが値上げをする―マヨラーの私はどこかに無視できない感じが残って、このニュースを読み進めた。バイオエタノールの原料にトウモロコシが使用されており、需要が増え価格が高騰しているためということらしい。マヨネーズの値上げは直接的にいえば、マヨネーズ製造にもちいる食用油の原料の一つがトウモロコシだからである。

マヨネーズ、17年ぶり値上げ キユーピーが10%朝日新聞5・9)

マヨネーズ最大手のキユーピーは8日、マヨネーズの価格を6月1日出荷分から約10%値上げする、と発表した。マヨネーズ500グラムの税抜き参考小売価格は、319円が350円となる。マヨネーズ配合量の7割を占める食用油の価格高騰が理由で、値上げは90年以来17年ぶり。
キユーピーはマヨネーズ価格を95年に約12%値下げしたが、食用油の原料のトウモロコシ、大豆などがバイオ燃料の原料として需要が増している影響もあり、当時と比べ食用油価格は1.5倍以上になっているという。

ウィキペディアによれば、トウモロコシの世界全体の生産量は、近年6億トン前後で、うちアメリカが4割程度を占め世界最大の生産国ということだ。日本はといえば、世界最大のトウモロコシ輸入国。その輸入量の9割をアメリカに依存している。

本来ならば、石油代替エネルギーとしてエタノールが注目され、地球環境改善につながることが期待されているのだろうが。今回のマヨネーズ値上げは、以上の世界的な要因とともに、日本における農産物の自給率もまた大きくからんでいるようだ。日本は最大の輸入国。国内で消費されるトウモロコシの75%は家畜の飼料用として使用されている。
社会実情データ図録を引用しておくと、見事に年々、自給率が低下していることがうかがえる。食料自給率穀物自給率ともきれいな右肩下がりなのだ。

朝日新聞天声人語」(5・11)は、いう。

地球温暖化対策の切り札とされる燃料「バイオエタノール」の生産急増が、世界の食卓を揺さぶり始めた。トウモロコシやサトウキビが燃料生産に回り、飼料と食糧向けが高騰中だ。大豆農家はトウモロコシに乗り換え、大豆で作る食用油や、油が原料のマヨネーズも上がる。

別の言い方をすると、バイオ燃料の拡大は、人間の胃袋を満たすものを今度は車が「食べる」わけだ。
もとより農作物は、天候をふくめて環境の変化をうけやすく生産は不安定。だとすると穀物の価格高騰は避けられず今後も見込んでおかないといけないのだろう。
自給率を高める課題は、畜産農家のみならず、食糧消費者としての私たちも、そして国内の穀物生産農家にとっても解決が急がれる課題のようだ。




◇「花・髪切と思考の浮游空間」の記事の表記を一部あらため再掲した。