「官僚は大ばか」論

「霞が関」は大ばか=菅担当相

「知恵、頭を使ってない。霞が関なんて成績が良かっただけで大ばかだ」。菅直人副総理兼国家戦略担当相は31日、民主党都連の会合での講演で、激しい言葉で官僚を批判した。
「効果のない投資に振り向けてきた日本の財政を根本から変える」と財政構造改革に取り組む決意を明かした菅氏は、官僚から「2兆円を使ったら目いっぱいで2兆円の経済効果だ」と説明を受けたことを紹介した後に、「大ばか」発言が飛び出した。官僚嫌いで知られる菅氏は、学業は優秀でも過去の例にとらわれて柔軟な発想に欠けると言いたかったようだが、官僚の反発を招きそうだ。

官僚主導を排するという民主党の主張も、こういった言動を聞いてしまうと鼻白む。ほとんど怨念めいた感情に近い。
こうした激しい口調を菅直人が繰り返せば繰り返すほど、これまでのいびつな自民党政治がどこに起因するのか、隠されていく。今日の財政事情をもたらしたのは、官僚がどこの圧力を受けることなく進めてきた結果ではないだろう。財界の意向を受けて政治が政策づくりを官僚に指示し、任せてきた。

こうした発言をする菅の意図がどこにあっても、自民党政治を免罪する結果にしかならない。発言すべきなのは、財界の意向を大事にし、財界が主導する政治が現実におこなわれてきたことを指摘し、財界主導の政治を新しい民主党政権はあらためるということを伝えることだ。