クジラ肉嫌いも迎合的に語るということ
鳩山首相「クジラ肉大嫌い!」 反捕鯨後押し? オランダ首相との会談で
こんな発言で、反捕鯨に反対する勢力に火をつけているようです。
でも、この首相の発言を今から過去に遡ってみましょう。そうすれば、この発言が反捕鯨の立場を明確にしたような、その意味で骨のある発言ではないことが分かります。
ということで、鳩山氏が、「私はクジラ肉は大嫌いだ」といったとか。
相手は、オランダの首相。記事をみると、「関係者は『首相は相手の考えに合わせて共感を示そうとした』と説明する」とある。
つきつめると、この関係者の発言が、鳩山発言への怒りを増幅させるものになっていないか。逆にいえば、産経新聞の思惑どおりかもしれません。この関係者なる人物に語らせることによって、火をつけようとしたのでは。
この関係者の発言どおりなら、首相は反捕鯨の立場に共鳴していることになる。ならざるをえません。そして、その立場に立って、共鳴する心を「クジラ肉大嫌い」という言葉で表したということになるでしょう。
でも、鳩山氏はそれほど「深刻」には考えていないのではないか。そう思えてなりません。先にもいったとおりのこれまでの言動があるのですから。今回も、ある意味でその場の状況で、ノリで、相手に迎合したのです。
鳩山氏自身がほんとにクジラ肉を好きか嫌いか、大した問題ではない。あくまでも個人の問題ですから。
ただ、首相の発言ですから、その一言が本人の意思を超えて、想定外の方向に発展することがえてしてある。日本政治の歴史を振り返れば、本人はそんな展開などおよそ予想していなかったように、方向が決められ、本人が孤立し、自ら墓穴を掘っていった例に事欠きませんから。
むしろ個人の好みなどのどうでもよい問題ではなく、鳩山氏に周囲から求められているだろうなと思うことを氏自身がほとんど理解していないか、理解していないかのようにふるまっていることのほうが、この日本にとっては深刻で、大きな問題です。
迎合的な立場をふりまくのではなく、民主党政権の方向をしっかり国民・有権者に提起することです。政権誕生後の内閣の対応を振り返りますと、その弱点がいよいよ目につくようになりました。
政権につく以前も、党内がほとんどまとまらない防衛・安全保障問題では先送り、先送りして、統一した見解をはっきりさせてこなかったという印象を私は持っていますが、その性向は今もかわらないということです。
そして、その性向をより性悪なものにしているのは、今回の鳩山発言のような、迎合的な、八方美人的なそれではないかと思うのです。