身内が指摘する独裁性。

身内からも独裁色に批判がでてきましたね。
議長の横路さんは、なるほど急所を衝いています。「議会は政府が決めたことをただ追認する」と。
まさに国会法を変えるという小沢提案は、この点こそ核心にしています。政治主導という謳い文句を強調することによって。
民主党の政府が決定し、それを実行する。国会は、横に置かれるわけですね。当ブログでは、別のエントリーで、鳩山首相憲法改定案にふれましたが、強い首相、大統領的首相と強い政府、これが明確なベクトルの方向です。

政策一元化は「独裁国家」 横路議長、小沢氏に苦言

横路孝弘衆院議長は10日、札幌市で開かれた民主党北海道連の会合で「独裁国家では議会は政府が決めたことをただ追認する。日本は民主国家だから国会の自主性を持っていきたい」と述べ、鳩山政権が進める政策決定の政府への一元化を強く批判した。民主党出身の衆院議長が小沢一郎幹事長の党運営に苦言を呈する異例の発言だ。

政策決定の一元化は9月中旬、鳩山由紀夫首相から党運営を任された小沢幹事長が党所属議員にメールで通達。「自民党政権でみられた族議員の跋扈(ばっこ)」(小沢氏)を排除するとして、党の政策関連会議を廃止し、議員立法も基本的に認めないとした。

横路氏は「一体化の名の下に議員立法をやらないとの発言が聞こえる。国会活性化の柱として、今日まで(議員立法を)進め、先の国会では臓器移植法のような形で国民の声に応えた」と強調。「三権分立立法府の役割は非常に重要だ」と述べ、法案提出権を政府が独占することに対し警戒感をあらわにした。

民主党にとっては、民主党の志向するエンジン全開というわけではない今の時期に、こうして明確な独裁志向がでてくるのですから、警戒を強めなければならない。あえて「民主党の志向するエンジン全開」という言葉をもちいるのは、先の衆院選の結果と来年の参院選前という時期という2つの側面を、民主党は無視しえないからです。その意味で、民主党が思う方向に今、政治をすすめているというわけではないと私は考えます。

逆に、来年の参院選で、仮に民主党の絶対多数が成立すると、民主党の志向する方向が信任されたとみなされるわけですから、独裁制にむかって、いよいよ研ぎ澄まされていく可能性は十分にあるとみなければなりません。つまり、アクセルが踏まれるだろうということです。

志向されているのは、国会を、政府のいわば従属物にするような方向です。横路氏はその点を鋭く指摘しています。
すでに連立を組んでいる社民、国民新の両党から、「対等な関係」とは到底いえない現状に不満が出され、社民も、国民新も疎外感を味わっている。しかし、民主党が、少数政党を排除するような選挙制度をめざしていることを、つまり定数削減の名で、比例代表制度をなくすことをそもそもねらっていることが重大です。ようは、二大政党制を(選挙)制度的に固定してしまおうというわけです。
このように、いくつもの論点で、現在の日本国憲法が保障する基本的な国民の権利を明らかに侵害するような方向を民主党がめざしていることに注意を喚起せざるをえません。

以上の意味で、横路氏の発言はまともなものですが、民主党の中からこうした意見が沸々と湧き上がるような事態がはたして期待できるでしょうか。
そのためには、国会の中だけで結論づけさせてはならないわけで、憲法に違反するような動きには国民・有権者が大いに声をあげなければなりません。今がまさにその時期なのかもしれません。
(「世相を拾う」09220)

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