限りなく公約違反

鳩山首相「政権公約、時間で変化も」 普天間合意容認を示唆

鳩山由紀夫首相は7日夜、普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題について「マニフェストで最初に申し上げたことは1つの約束で簡単に変えるべきではないと思っているが、時間というファクターによって変化する可能性は否定しない」と述べ、キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)に移設する日米両政府の合意を容認する可能性を示唆した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

首相は「マニフェストは国民との約束事だから基本的にはそれを守ることが大事だ。普天間の話になれば、沖縄の県民の皆さんの気持ちが一番大事だ」と述べ、県外移転を求める県民感情に配慮する必要性を強調した。その上で「日米で合意したという前提がまずあるわけだから、その前提のもとで、沖縄の県民の皆さんにも理解しうるような形が作れるかが一番大きな問題だ」と述べ、現行計画の変更に難色を示す米政府の意向も無視できないとの考えをにじませた。

民主党は先の衆院選マニフェスト政権公約)で在日米軍再編について「見直しの方向で臨む」と明記。普天間飛行場の移設問題への言及はないが、首相は選挙戦で「最低でも県外移設が期待される」と訴えてきた。首相就任後も「私のベースの考え方を変えるつもりはない」と明言し、県外移転を前提に移設計画を見直す考えを表明してきた。

しかし、政権内にも「事業が進む中で新しい道を模索するのは極めて厳しい。県外移設ということになるとかなり時間がかかる」(北沢俊美防衛相)など慎重論が根強い。首相は現行計画推進の余地を残すように発言修正を試みたとみられている。

「日米で合意したという前提がまずあるわけだから、その前提のもとで、沖縄の県民の皆さんにも理解しうるような形が作れるかが一番大きな問題だ」というのは、日米合意を尊重するという立場であることの表明ですね。合意尊重というこの立場は、首相の説明によれば、合意という前提がまずあるとする考え方ですから、別の言い方をすれば、合意という事実があってそれは動かしがたいということでしょうから、合意がなった時点以降はずっと変わらず、保持しているはずの認識でしょう。
そうすると、マニフェストに、あいまいな表現であるにしても、「見直しの方向で臨む」と書くこととの整合性がはたしてあるのでしょうか。ない、のではないか。もっとも、以前に、このあいまいな態度について言及してきたところですが、臨むといっているにすぎないという抗弁がでてくるかもしれませんが。
態度をかえることは一般にはありうるでしょう。その理由はしかし、国民に納得されるようなものでなければなりません。

首相のいうのは、すでに合意されているから、というに等しいものでしょう。また、こうもいえます。
日米の合意を、国民との約束より上位に置くといっているようなものです、鳩山首相のこの発言は。むしろ国民を、あるいは沖縄県民を横に置くような態度を看過できません。これは、どうも国会改革で強調している方向と無縁ではないように私は思います。
つまり、この鳩山発言にみられるような国民を軽視する立場と、政治主導という言葉で表現される、民主党政権がやろうとしている方向は同じものではないかと考えるのです。
政府の権限を強化する方向が、議員の議案提案を封じ、委員会の定数を削減させる、そして副大臣政務官の委員会所属を義務付け、政府の政策関与を強めるという具合に。

結局、鳩山発言は、政権のいうことが常に絶対、第一といういいかえとでもいっておきましょうか。
そもそもマニフェストや公約の意味する奪う発言ですね、これは。