八ツ場ダム問題メモ


花・髪切と思考の浮游空間」に以下の記事を公開しました。
八ツ場ダムが映し出すもの



八ツ場ダム問題は自民党政治の一つの象徴的な出来事でしょう。川辺川ダム問題と同様に。
いくつかの点にふれて、きょうはお仕舞いにしたいと思います。
私が自民党政治を象徴するというのは、政・財・官の癒着構造がこの問題にまつわり透けてみえるからです。
国の総事業費は4600億円ともいわれてきたわけですが、定かではないようです。利水、治水が目的なのですが、過大な水需要予測、「二百年に一度」の大洪水対策という根拠に無理があるなどを指摘され、6都県で建設差し止めの住民訴訟が行われてきました。ダム本体の工事は未着手で2010年度に完成する計画を国交省は昨年、5年延長を発表し、新政権にいこうしたのち、前原国交相はあらたに中止の方向を明確にしたわけです。

満たされないのは、この事業に期待を寄せた地域の自治体関係者などかもしれません。その典型を、群馬県知事の姿勢にみることができるでしょう(参照)。
何が何でもというのですから、一切のことは横において断行しろというわけです。
自民党政治が、公共事業をもとに政・財・官の癒着を強めながら、権益を一部のものに集中し、支持基盤をつくってきたのは周知のとおりです。公共事業とは名ばかりで、それにかかわることができるのはまさに一部の大企業でした。公共事業を通して、地域の中小業者に仕事が回ることを望む私は、この事態は即刻打開すべき事態といえるものでしたが、長年の自民党政権はこの一部に権益が集中することを目的として動いてきたのではないでしょうか。
一方で、八ツ場ダム問題は官僚の天下りの、紛うことなき温床となってきたことがすでに指摘されています。随意契約がまかり通り、その裏には、関連事業19件(2006年度)のうち、天下りを受け入れた5社が11件を受注したというのですから。おそらく誰もが、少なからずここに癒着という問題を感じるのではないでしょうか。

この概要が、すなわち長年の自民党政治がつくり出してきた公共事業に巣食う癒着の構造です。しかし、前原国交相の対応は、世論の動向を無視しえないという側面を考えざるをえないという、総選挙をへたものとして理解しなければなりません。
ともかく、ムダな公共事業、税金の無駄使いを許さないという輪を広げることです。そして、財界・大企業と政・官の癒着を認めない、という点での一致をどう広げるか、皆さん、考えみましょう。