日本の能天気− 代表選の一部始終を報道するNHK


NHKは、一つの政党の開票作業の一部始終まで全国放送するという丁寧さでありました。自民党か、民主党かといわんばかりのこうした扱いは、今にはじまったことではもちろんありません。公共の放送を、投票行動から開票作業、そして開票結果の発表までカメラが追う。そして、代表に選出された鳩山由紀夫が決意表明をする。それも追うのですから、NHKはあたかも民主党の専用放送局の役割を果たしているかのようでした。
こと民主党にかぎっていえば、党首を選出するのに、国会議員のみでおこなうというのですから、はたして近代政党といえるのでしょうか。この政党は文字どおり議員政党であることを典型的に示しました。この選挙では、220人余りの国会議員のみが有権者というわけです。地方組織が、党首選出にかかわれないというのですから、それ自体、前近代的残滓をひきずっているのではないでしょうか、民主党は。

鳩山氏が代表に選出されました。
その結果、およそ自民党的体質、金権にどっぷりとつかった小沢代表の口から、西松違法献金問題について何も語られなかった。自民・二階と同様に、疑惑にフタをするような態度です。民主党自民党の関係を、この一点からみても、つぎのように考えるのです。
似て非なるという言葉があります。しかし、民主党自民党の関係性を考える場合、どこが違うのかというよりも、非なりて似る側面をしっかりみておくことのほうが政治のあり方を見極める上で、およそ有効な気がしてなりません。
つまり、民主党自民党とは現に異なる政党として存在するのですが、非なりて現にあるのですが、似る側面を強調しなければなりません。

元に戻ると、小沢氏が辞めて国民の納得がえられたのでしょうか。むしろそこに何らかの形で決着をつけられない政党がほとんどこれまでの自民党(の実態)と峻別できないことのほうが大きな意味をもっています。鳩山氏も、選出された際のあいさつで、あらためて政権交代を強調していました。もちろん政権交代で何を転換するのか言及しないまま。しようがないのではないか。

一方、昨日、西松建設が違法献金問題について、内部調査結果を公表しました。社長も引責辞任するそうです。

準大手ゼネコンの西松建設は15日、民主党の小沢代表側への違法献金事件などを受けて進めていた内部調査の結果を公表した。工事の受注活動を円滑にするために、ダミー団体を使って政治家側への違法献金をしていたことを認める一方、07年までの約10年間に海外で計約9億円の裏金を作っていたことを明らかにした。

 また、裏金とは別に、国税当局に支出先を明かさずに税務申告した使途秘匿金は08年までの5年間に約26億円に上り、工事の近隣対策費や民間会社へのリベートなどに使われたという。報告書は裏金づくりの経過や役員らの関与について詳細に記述した異例の内容になっている。
「受注のため違法献金」 西松建設、内部調査結果を公表

一つは、小沢辞任が明らかにされたのちの、同社の結果公表であることをふまえないといけないでしょう。つまり、違法を承知の上での献金であったこと、その目的が受注をふやすためのものであったことを西松は明らかにしたわけです。公表のタイミングはあらかじめ練られたものだと私は推測しますが、小沢がトップの座を降りることが明確になってからという瞬間に、結果的に、形式が整えられてから自ら認めたのです。西松側の公表にたいして、こんどは小沢側が説明する番です。仮に小沢氏が代表にとどまっていたら、メディアもふくめて追及の手はいっそう強まっていたことでしょう。辞任後の今は、メディアの報道姿勢で明らかなようにまさに(小沢氏は)不問に付されたかのような扱いではありませんか。

それでも能天気なブロガーはいまだに小沢秘書逮捕の「国策操作」論に固執、終始しています。まず潔白を示せば、それでもって権力犯罪は打ち破れるものなのでしょうに。岡田克也の発言にまで食ってかかる始末です。けれど岡田だけではなく、民主党の正体がすでに問われているのでしょうがね。

世の中、自民か民主かという、2つのほとんど区別のつかない政党によるやりとりがあたかも日本政治の帰趨を握るかのような宣伝が、メディアも使って周到におこなわれる、最近の繰り返しです。
これら2つの政党がしっかりと対峙しているかのように喧伝されるのですが、事実は、昨日のエントリーに示した以上のものではない。断末魔的ないきづまりの中におかれている自民党に、毎度の国会終盤になって助け舟を出すのは民主党なのですから。こうした構図のなかで、いくら政権交代などといってもから威張りにすぎない。こう変えるというものをみせよ。
鳩山由紀夫新代表にはそのことを、やれるものなら国民にむかってまず最初にやってほしいものです。