茶番劇− 小沢辞任から鴻池辞任、補正予算成立まで


週刊新潮鴻池祥肇の女性問題を報じたのは、5月13日号でした。
当の問題は4月下旬の出来事と伝えられていて、しかも小沢辞任が11日なので、鴻池事件と代表辞任から週刊誌の発売がどことなく連なったもののように私には思えてなりません。
ようするに、閣僚の一人である鴻池のスキャンダルは、国会が空転してしかるべき重さをもつ問題だといえる。たとえば一つ、閣僚たるものが公用車を誰がみても私的に伝っていたというわけですからね。ましてや自民党から政権を奪おうとする政党にとっては、交代へのロードマップを加速させうる、絶好のチャンスととらえても不思議ではない事件でした。
ところがあにはからんや民主党は小沢辞任後、代表選一色でした。国会もしたがって、補正予算を通してしまう結果になった。国会で、いつもの民主党が好んで使う徹底抗戦などの言葉が鼻白むくらい、自民党とは徹底して戦うという意思がこの党にはまったくみえませんでした。間質性肺炎のため入院していたとされる鴻池が辞職したのは5月13日。その日、補正予算案は衆院を通過したのです。民主党(の戦術)は社民、国民新とともに本会議を欠席するということでした。
つまり、表でいってきた徹底抗戦の姿勢はまったくありませんでした。
実は、13日衆院採択の筋書きはすでにマスメディアで報じられていて、衆院予算委員会理事会では委員長・衛藤征四郎が職権で、締めくくり総括質疑と採決をおこなうことを決定していたのです。この際、民主党は、13日の採決が与党から提案されると、退席するという態度をとるという不可解なもの。これは採決に反対するという態度でしょうか。そうではなく、暗黙に採決を認めたものと解釈する以外にないのではないでしょうか。

私はこんな民主党の姿勢をきわめて欺瞞的だと思いますが、本会議は、同党によれば抗議して欠席するという態度に出たのでした。
民主党が言葉のとおり徹底抗戦していれば、補正予算案の13日採決はおろか、14日には必ず鴻池問題が国会で取り上げられ、自民党は窮地に追い込められたはずでしょう。

民主党が世論対策とばかり、代表選に注目を集めようとする意識が働けば働くほど、自民党にとってまた延命の可能性が広がったといえるでしょう。鴻池問題はほとんど追及されないまま、推移しているのをご覧いただければ、民主党のほとんど理解不可能な国会対策に強い疑問をいだかざるをえません。毎度のこととはいえ。
茶番のにおいを払拭できませんね、私は。