消費税の20年


消費税が導入されて4月1日で丸20年。
導入されるときも、そして増税のときも、引き合いに出されたのは社会保障の充実のためということでした。しかし、結果は、われわれ国民がまんまと騙され続けてきたというのが現実でしょう。ならば、消費税の税収はどのように活用されてきたのか。
政府は、それをむろん口に出していうわけがありませんが、結局のところ、消費税が少なくとも導入されてきて以来、その税収にほぼみあう分が法人税減税による税収不足分を補ってきたということです。
ようするに、事実は、口実にされてきた社会保障の充実ではなく、財界や大企業の税金を減らすための穴埋めにあてられてきたというわけです。
税のとり方というものに時の政府の階級的な立場が表れるとすれば、この手法そのものに、自民党政府がいかに大企業や財界の立場に立ってきたかが分かろうというものです。

少し立ち入ってみると、1989年に3%で導入され、1997年に5%に税率が引き上げられました。そして2009年度までの消費税の納税額累計は213兆円と推計されています。一方で、この20年間に法人税、法人住民税、同事業税は182兆円、減税されているといわれています。まさに減税分182兆円を消費税で補ってきたのです。

社会保障に目を転じると、この20年間、受給する側にとってはマイナスとなった年金が改悪され、雇用保険料は引き上げられるという連続でした。また、介護保険料も03年、06年にに引き上げ、障害者も自立支援法による負担増、生活保護母子加算の削減、後期高齢者医療制度が08年にスタートするという、まさに踏んだり蹴ったりの状況でしょう。
ちょうど日本に消費税なるものが誕生して20年になる4月1日、生活保護母子加算が全廃されるという出来事は、歴代の自民党政府がいかに国民生活を無視してきたのかを象徴するものだと私は思います。

積み上げられた消費税額213兆円。
気の遠くなるような多額の金額です。それが本来、担税力があるはずの財界・大企業の減税にあてられるという不条理。
少し身近に考えるために、例をあげてみます。
仮に一世帯で毎月、消費に20万円をあてるとします。そうすると、
消費税率3%の時代は8年間つづきましたので、その間の消費税額は、

20万円×3/100×12×8(年)=57.6万円

同様に、5%になって以降は、

20万円×5/100×12×12(年)=144.0万円

の消費税を納めることになります。
つごう200万円を上回る税金を納める結果となるわけです。しかも、先にのべたように、私たちの日常生活に密接に関連するはずの社会保障制度の充実にあてられるのではなく、大もうけをしてきた財界・大企業の減税に振り向けられてきたのですから、納得しがたいのも当然でしょう。
つまり、上にみたとおり一月の生活、消費が20万円だとすると、ほぼ200万円の消費税を納めたというのですから、私たちは10カ月分の生活費をまるごと、大企業・財界に捧げてきたといえるわけです。消えた生活10カ月ともいえるものです。

ごまかされつづけた20年をふりかえり、少なくとも法人税を元に戻すと要求することは妥当ではないのか。税は負担能力のあるところから相応にとるという一つの原則に立ち戻ることが必要ではないか。
こう消費税の20年の歴史をながめて思うのです。