二題噺− 学者の言説


例によって山口(二郎)先生。
以下のようにのべておられます。
このエントリーの主題は、小沢秘書逮捕劇での検察の暴走を論じたものですが、以下の部分が眼にとまりました。

小沢資金疑惑と報道

公共事業の受注を期待したのは献金した側の主観の問題であって、献金した後になって具体的な利益供与の期待があったと言われれば、献金をもらう政治家にとっては防御のしようがなくなる

こうした認識の前提には、企業献金を否定しないという立場がなければなりません。同時に、公共事業の受注を期待するのは企業側であって、政治家にはつまるところ、利益供与の責任は問われないといわんばかりの主張です。「献金をもらう政治家にとっては防御のしようがなくなる」といって、わいろ性そのものを否定しようとしています。

議論は逆立ちしています。
そもそも、企業からの献金が、「公共事業の受注を期待し」ていることが含意されているのですから、献金を出す側と受ける側の授受の関係が成立すれば、そのことでわいろ性が強く疑われる。
企業献金の一部金など意味がなく、前面禁止であってこそ意味をもつのです。

かばうあまりでしょうか。山口氏が別のエントリーでのべていた胆力が氏には欠乏しているようです(参照)。

さて、もう一つは、高橋洋一東洋大教授。
今朝のしんぶん赤旗のベタ記事で私自身は知りました。窃盗容疑で逮捕されたとか。
氏はいわずとしれた小泉政権を支えてきた政策メンバーの一人。

検索すると、朝日新聞も取り上げていました。警察側の発表にもとづいた記事でしょう。朝日も赤旗もほぼ同じ内容です。

朝日によれば、

温泉施設の脱衣所のロッカーから高級時計などを盗んだとして、警視庁は、元財務官僚の高橋洋一東洋大教授(53)=東京都板橋区=を窃盗の疑いで30日に書類送検した。高橋教授は、小泉政権のブレーンとして郵政民営化などを進めた。

練馬署によると、高橋教授は24日午後8時ごろ、練馬区の温泉施設「豊島園庭の湯」の脱衣所で、同区の会社員男性(67)が使っていたロッカーから現金約5万円入りの財布や、イタリア製の高級腕時計(数十万円相当)などを盗んだ疑いがある。男性は鍵をかけ忘れていたという。

高橋教授は「いい時計で、どんな人が持っているのか興味があった。申し訳ない」と謝罪しているという。

学者先生が検察沙汰になるのは、むろん皆無ではありませんし、不思議でもありません。
そこで、面白いのは、池田信夫氏が高橋氏の逮捕を自らのブログで取り上げていることです。
警察のフレームアップを匂わすような論調で、それが興味深いのです。
池田氏のような詮索に私は興味がありませんので、触手が動かされる方はそちらをご覧ください。
まあ、しかし、高橋氏は容疑者にすぎません。真相が究明されるのを期待するのみ。

この2つの事例は、小沢氏と小泉ブレーンの一人といわれた学者という、2人の人物を、かばおうとする2人の学者の言説が実に面白いのです。
その際、妙に反警察、反権力という色合いを帯びるのが。そして、ほとんど巷間ささやかれる言説の域を出ないことが。