妙案−自衛隊勧誘のための貧困ビジネス


自衛隊駐屯地で失業者向け職業訓練 自民内で構想浮上

いよいよという印象を強くもちます。
当ブログで、自衛隊勧誘という究極の貧困ビジネスというエントリーをあげたのは今年1月15日でした。

雇用をどのように確保するのか、首を切られた労働者の雇用をどのように保障するのか、これは容易な課題ではない。
そこで、こんな動きも表面化している。自衛隊が、派遣切りで解雇された労働者を対象に勧誘を強めているというのだ。
当ブログでは、米国を引き合いに出して、戦争が貧困ビジネスの最たるものだとのべてきた。堤未果さんが常々語っているが、米国のとくにマイノリティを対象に、戦争屋たちが高校生狩りに乗り出す。彼らの多くは貧困層だ。
自衛隊が派遣切りの労働者にねらいを定めようとする構図は、堤氏が伝える米国の兵士リクルータたちの行動と瓜二つのものだ。

冒頭の記事で伝えられている事実は、自衛隊の駐屯地で失業者向けの職業訓練をやるということを自民党が検討しているというものです。
記事はこう伝えています。

「民間国土保全隊」と名づけた構想で、不況で職を失った人やニートらが駐屯地に半年間住み、生活費を支給されながら職業訓練を受ける。」

あからさまに自衛隊勧誘をうたってはいません。けれども、「不況で職を失った人やニートら」を対象に生活費を支給しながら職業訓練を受けさせるのに、自衛隊駐屯地でなくてはならない理由はまったくありません。その理由として唯一考えられるのは、自衛隊であるということろに尽きているわけで、それは、隊員の確保と密接にかかわっていると推測しても不思議ではない。つまり、半年間のうちに、どの程度のイントロダクションなのかは横に置くとすれば、「土木工事用の大型機械などを扱う資格を身につけ」ることや、「耕作放棄地の活用や未整備の森林間伐などの担い手になること」はすなわち自衛隊員の任務とかなりの程度、重複するものでしょう。十分はイントロダクションになりうると思うのは私だけでしょうか。

タレントの結婚の相手が業界の人でない場合、マスメディアの報道で最近、一般人という呼称がはやるようになりました。その呼び方に私は賛成しかねますが、あえてこの事例の場合、その呼称を借りるならば、一般人にとって、自衛隊駐屯地は、世間とは隔離された、非日常の世界でしょう。
その中で、約180日の間、自衛隊の指揮のもとに訓練されたら、もうほとんど、その人の心は自衛隊のもの、といえるのではないでしょうか。ましてやカネで縛られるわけですから。

先のエントリーで堤未果さんの指摘を紹介しました。
それによれば、米国のとくにマイノリティを対象に、戦争屋たちが高校生狩りに乗り出す。彼らの多くは貧困層なのです。
自民党がこうして派遣切りの労働者にねらいを定めようとし、職業訓練の接点に自衛隊駐屯地を設定するという構図は、堤氏が伝える米国の兵士リクルータたちの行動とは形式的に異なってはいてもまさに連続するものだといえるでしょう。
戦争は、貧困ビジネスの最たるものだとのべてきましたが、まさに自民党の検討内容はそれを端的に示すものです。
自民党自衛隊員を確保する目的で、今日の貧困の深まりを最大限、利用しようとしていると理解してよいでしょう。同時に、防衛省によれば自衛隊員は25万6000人(「我が国の防衛と予算〜平成20年度予算の概要」、年間平均)そされており、最大の国家公務員組織であることも記憶に留めておく必要があるでしょう。