本音じゃないだろ− 企業献金を断てるか。。


西松建設の違法献金問題は、今後うやむやに終わる可能性が強いことを私はのべてきました。自民党にとっては小沢のイメージダウンという当初の目的は達したと考えられますから。この事件を理詰めでやっていけば、そこに浮かび上がるのは、企業の多額の献金に群がる自民党民主党の政治家たちの姿だけなのです。しかも、自民党の首相経験者、閣僚経験者、一方の民主党の党首がふくまれているわけで、すなわちそれは、日本の政治のありようを現しているともいえましょう。

結局、企業献金がもともと自企業の権益のために特定の政党にカネを貢ぐことによって、それ以上の効果をうるしかけが企業献金にすぎません。カネを贈与することによって、こんどは贈られた側がそれにこたえ、予算をぶんどる。こんな構図で長年、自民党政治のもとでつづけられてきたもので、企業献金というものは、政治をゆがめることに本質があるでしょう。

現行(政治資金規正)法にてらし形式が整っていることを最大の「根拠」として、たとえば小沢一郎は開き直っているというのが私の率直な感想です。自民党とは異なる政治があって、その政治を少なくとも(民主党が9めざそうとしているのなら、小沢はなぜ、企業献金そのものに反対しないのか。けれど、少なくとも彼はこれまで企業献金の禁止を自ら言い出したことはなかった。小沢の視野には、企業献金というものが結果として政治のありようをゆがめているという認識はないと受け取ることができる。
自民党ではなく民主党だと期待する人は、この点での両党のちがいを見出せるのでしょうか。私には、そのちがいはまったくないように思えます。

一般に、事故・事件に遭遇すると、当該組織は自らなぜその事故・事件が引き起こされたのか、原因究明をまず追求するのが普通でしょう。逆に、世論は当事者にそのことを求めてきたのがこれまでではなかったでしょうか。JRが人身事故を起こし、多数の犠牲者を生み出したとき、世論は原因究明と再発防止を強く求めたものでした。あるいは、最近の偽装表示問題をふくめた度重なる食品事件で、原因究明と二度とおこらないような組織的対応を強調してきたのが私たちではなかったか。

同様に、今回の西松建設の違法献金疑惑に対してもスタンスをかえずに臨むのが理屈にかなっているといえましょう。
途中、国策捜査とか、権力の陰謀とかが強調されています。
そのことの真偽は追及されてしまるべきでしょう。
その上で、考えるのは、そもそもこんな嫌疑がかけられる要素、体質をもっている政党と政治家をどのようにみるのかということでしょう。
国民には知る権利がある。
逆に、その「当事者」たる政党と政治家は自らすすんでこの嫌疑を解く必要があるのではないでしょうか。この点で、不思議に思うのは、自民、民主の対応です。献金をもらったという政治家を抱える自民、民主両党が自ら解明しようと調査に乗り出したとは聞きません。
調査委員会を設け、事件に対処し原因を究明しようというシステムはうまや常識となっていますが、両党は世間のコンセンサスから遠くはなれた地点に立っているのではないでしょうか。繰り返される自浄努力という言葉ですが、それすらまったく耳をかさない態度としか私にはみえません。適法に処理しているとか、党首がそういっているから正しいと思うでは、原因究明も、ましてや再発防止策などまったく期待できません。

西松建設の違法献金疑惑を自民党民主党は自ら調査し、事実を明らかにしなけれななりません。それができてはじめて、両党の考える再発防止策も、その是非は別として、確立できるというものです。

以下の記事にある首相の発言は、その意味で論外でしょう。現行法で解決できないのは今回事件であきらかなのですから。

規正法見直し、首相は「今の法律で解明されつつある」

麻生首相は13日、朝日新聞のインタビューで、西松建設の違法献金事件を受けた政治資金規正法見直しについて、「いま特に考えているわけではない。今の法律で解明されつつある」と述べ、現段階では慎重な考えを示した。

菅直人氏は、民主党企業献金廃止法案を提出する意向をのべているようです。結構なことのように思えます。が、しかし、今回の小沢、山岡両氏が今回事件にからんでいるとされている事実、これまで同党がいってきたところから判断すると、まゆにつばしなければならないと思えます。


民主、政治資金規正法の改正案を検討 今国会への提出めざす

そんなことより、民主党にまず求められているのは、小沢、山岡氏にかけられている疑惑を自ら今回の事件を調査し、説明するということ以外にありません。そうして原因が解明できて、はじめて再発防止のための法案の形がみえてくるでしょう。
そこを抜きにした菅氏の発言は、パフォーマンス以上のものではないでしょう。これまでの中身を問わずに、なぜいま(公共事業関連の)企業献金廃止なのか、説明がつかないではありませんか。