「5時まで会議」の虚実。。

東大、会議は午後5時まで 仕事と生活の調和目指す

東京大学は3日、新年度から、原則、午後5時以降の公的な会議を行わないことを決めた。この日定めた「男女共同参画加速のための宣言」の中の一項で、教員に、仕事と生活のバランスを考えてもらい、特に女性研究者の活躍を促すのが狙いだ。

東大によると現在、事務部門は午後5時以降の会議を行っていないが、教員の会議は授業終了後に始められたり、予定が延びたりして、終了が午後5時を回ることもある。今後、開始時間を早めたり、会議のスピードアップを図るなどして、午後5時終了を徹底したいとしている。

宣言ではこのほか、教員を公募する際に女性の応募を歓迎する趣旨を明示し、積極的に採用することをうたっている。東大の女性教員比率は9%と低く、これらを通じて、10年3月までに女性の採用比率を25%以上にしたいとしている。

仕事柄でしょうか、その半分くらいは会議で終わるのが私の日課になっています。8時間労働で4時間程度は会議ということになる。もちろん5時以降の会議もルーチンで入るのですが、東大のこの発案ははたして実現性のあるものでしょうか。
ねらいは、仕事と生活のバランスを考えてもらい、特に女性研究者の活躍を促すとか。
誰しも仕事は少なくし、自らの生活を重視したいと考えるわけですが、ままならないのが現実。
記事にあるように、5時からの会議をなくすためには、会議の構成員の労働の形態がいあかなるものか、そこと深くかかわっています。事務部門はその点でフレキシブルで、教員は間蜜な労働のために5時以降でないと会議出席ができないということでしょうか。

たとえば、生産ラインで働く労働者でたとえば午前9時から午後5時までを就業時間だとすると、その時間内に会議出席するとなると、その労働者がこれまで担当した部分に関してラインに穴が空きます。そうなると、その穴埋めの対応しなければ、そうしなければ結果的に欠陥製品がつくられるわけですね。時間内に会議を実施するということはあらかじめ、こうした「不就労」を前提にするので、代替要員の配置または(生産)システム自体の効率化を予定しなければならないのです。

つまり、これは、たとえば午後5時以降の会議、仮に2時間の会議であったとして、それを5時以降にやらないで時間内にやるとすると、それぞれの会議構成員の2時間の労働にかかるコストの総計を引き受けなければ成り立たない話です。

高い理想を実現するためには、こうしたコスト増が前提とされる。人員増か、システムの見直しか、です。しかし、これまで、日本ではえてして、労働者に負担を帰すやりかたで凌いできた現実があったのではないでしょうか。5時以降の会議、たとえば2時間を時間内に移動する際、その日は、休憩時間含む少なくとも会議以外の6時間でこれまでの8時間に相当する労働が労働者には求められてきたように。つまり、労働強化で乗り切ってきたのではないでしょうか。

東大のうちだした提案は、こんなきわどい内容をはらんでいることも承知しておいてよいのではないでしょうか。
むろん、私が、女性の労働環境が改善されることにやぶさかではないし、女性ならずとも労働者が自由な時間を獲得することに賛成ではあっても反対する理由はないと考える一人であるのにちがいはないのですが。
東大の意向は、前提となる条件整備のいかんにかかっているのではないでしょうか。