キヤノン工事疑惑

「鹿島に発注を」造成工事でキヤノン、大分県に要請文送る

キヤノンの工場建設を巡る法人税法違反事件で、脱税の舞台となった大分市の2事業所の用地造成工事について、キヤノンが事業主体の大分県土地開発公社に対し、鹿島への発注を求める「要請文」を送っていたことがわかった。

 工事は要請通り、計約80億円の随意契約で鹿島が請け負っていた。鹿島はこの工事でも、東京地検特捜部に逮捕された大分市コンサルタント会社「大光」社長・大賀規久容疑者(65)側にリベートを提供したとみられ、大賀容疑者の口利きを背景に「鹿島ありき」で業者選定が進んだことがうかがえる。

昨日のエントリーで、キヤノンと大賀氏の間の「親密な関係」が事件の前提にあることにふれました。
冒頭の記事は、キヤノン・御手洗氏と親密な関係にある大賀氏がいわば独占的にキヤノン発注工事の仲介を引き受け、一方で裏金づくりをさせながら、つまるところ鹿島に受注させるという一つの図式のなかに、キヤノンが直接的に介入したことを物語るものです。
発注先であるキヤノンが、事業主体たる公社に事実上の圧力を加える結果となったわけです。

記事によれば、「キヤノン誘致が前提の工事なので、意向を打診したが、あくまでも公社が主体となって鹿島を選定した」(久保隆専務理事・大分県土地開発公社)と語っているわけですが、記事の指摘するところによるかぎり、到底、私たちにはそう読み取ることはできないのではないでしょうか。むしろ、公社は受動的に、逆にキヤノンの、あるいは大賀氏の描くとおりに、思惑通りに鹿島を選択したということでしょう。キヤノンと大賀氏が主体的に鹿島を選択したという以外にないと。こう考えるのが、ふつうではないのかと思うのです。

いよいよキヤノンの介在ははっきりしてきました。御手洗氏がこれまでのべてきたように「迷惑している」というキヤノンの関与の仕方ではないことは明白です。

経団連が推進しようとしている道州制が、大企業の思惑どおりに地方自治体の財政にも食い入り、いっそうの財界・大企業のための開発政策や産業政策の道具に自治体を変えてしまおうとするものですから、そうなると、今回のような企業と自治体あるいはその外郭団体を介した、いっそうの癒着関係が深まるであろうことを懸念するわけです。

御手洗氏は、この事件をまるで第三者のような立場からコメントすることを直ちにやめ、事件にかかわった企業のトップとして、また、企業を率先して範を垂れるべき立場にある経団連会長としての立場からも、事実を明らかにし、そして自らの企業のとった対応について釈明する必要が少なくともあるのではないでしょうか。

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