英国の消費税引き下げ− 日本との落差


景気刺激策として妥当な策だと考えていたので、思わず拍手喝采。海の外の出来事なのに。
日本で、なぜこんな対策が実現しないのか。その落差を、しみじみ考えさせるニュースだった。英労働党政権天晴れ。

イギリス:消費税引き下げ 3兆円近い景気対策を発表

英政府は24日、総額約200億ポンド(約2兆9000億円)に上る景気対策を発表した。個人消費を支えるため、日本の消費税に当たる付加価値税(VAT)を少なくとも1年間、17.5%から15%に引き下げ、125億ポンド規模の減税をするのが柱。欧州で最悪の事態に陥っている英景気をテコ入れできるか注目される。

欧州主要国で消費税率を引き下げるのは初めてとみられ、ブラウン首相は24日の講演で、「異例な時だからこそ、異例な行動が必要だ」と述べた。ガソリンにかかる燃料税の引き上げや中古車への課税を先送りするほか、中小企業への法人税の引き上げも見送る。

財源確保のため、国債を増発するほか、年収15万ポンド超の富裕層に新たな税収枠を設定し、12億ポンドを徴収する。これに伴い、来年度の財政赤字は、1180億ポンドに拡大する見通しだ。

翻って日本では、こんなことは期待できない。

たとえば、いまの民主党
民主党からは、こんな政策は絶対に出ない。因みに、同党の景気浮揚政策をとくとご覧あれ。仮に紙をも透すような眼でみても、どこからもそれを見出すことはできないだろう。ましてや、わが自公政権がそんな理屈にあった政策を提案できようはずもない。
平たくいえば、この国では聖域というものが、厳然としてあるのだから。これをほとんど、まるで向こう見ずのように執拗に指摘しているのは今、共産党以外にはない。その他の政党においては、手をふれてはいけないものが厳然としてあるのだ。

元にもどると、英労働党政権が打ち出したのは、消費税の一時的減税。理にかなっている。日本でも、国内消費の冷え込みがたびたび指摘されているわけで、直接、効果を期待できる方途の一つとして消費税減税があると大方が考えるところだろう。
英国が踏み切ったのは、それだけではない。一方で、高額所得者への課税強化を宣言した(参照;英、消費税2.5%下げ発表 景気対策で09年末まで)。

英国では、景気刺激策に国内総生産の1%に相当する総額200億ポンド(約2兆9000億円)をあてるという。日本でいえば、5兆6000億円程度に相当する。消費税引き下げはその一環の対策だ。12月から来年末まで実施するらしい。

同国の財務相は「全員を支援する最良で最も公平な方策」「商品とサービスを安くし、消費を促進し、成長を刺激する」とのべたというのだから、まさに拍手をしたくなる。

「信用できない」「チンピラの言い掛かり」などという言葉の応酬を、あたかも対決と勘違いしているかのような日本国の二大政党党首。
明快で、的確な景気刺激策をいまこそ提起してもらいたいものだ。
といっても、米国にも、そして財界・大企業にも、モノがいえないという点で同じなのだから、まったく期待はできない。
だから、逆に、たとえばトヨタ・奥田発言みたいなものが横行するのだ、わが国では。
(「世相を拾う」08246)


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