どこまで米国を擁護するのだろう。。

際だつ日本の米国擁護− 金融サミット

低迷する支持率。おそらくその起死回生策としても、もくろまれたであろう給付金をめぐって、いよいよ政府・与党は混迷を深めている。そして与党内の不協和音は、実施延期はもとより、期待していた人にとっては、ほんとうに実施されるのか否かという不安すらかきたてるだろうことを予測させる。

G20による金融サミットが閉幕した。
サミットは金融規制強化を宣言のなかでうたった。これが第一の成果だろう。
つまり、銀行などの金融市場参入者が自らの最大限の利益追求のためには、手段をえらばず、リスクも顧みないという動向、これが危機をもたらしたと断罪したといえる。

国内の迷走をかかえつつ、わが麻生首相ももちろん出席した。
政権を取り巻く環境が先にあげた状況にあればこそ、首相は会見で、サミットのなかでの日本の存在感と役割の大きさを大げさすぎるほどに強調してみせた。限られた情報からは、しかし、首相がいうほどには参加国に受け止められているとはいえないようだ。
たとえばつぎの事実一つからもそれが伺える。首相が次回開催は日本でと声高にさけんでみても、サルコジが一方で次はロンドンだと会見している映像が流されているのだから。

サミットのなかでの日本の対応は、このようにのべると、おおかた察してもらえると思うけれど、少なくともヨーロッパ諸国、新興勢力とは異なっていた。
今回のG20で課題とされていたのは、規制緩和に関する国際協調だけではもちろんない。金融危機のなかで、ドル体制は明らかにゆらいでいる。米国の地位低下を誰もが感じ取っているのが今だ。「米ドルはもはや基軸通貨ではない」と言い切ったサルコジの言葉が象徴するように、米国の低下とそれを乗り越えようとするヨーロッパ諸国の意思があらためて明確になった。
サルコジが「つぎはロンドン」というのも主導権をヨーロッパにという強い意思が働いているといってよい。
ブッシュが米国の威信を維持しようとこれに抗おうとしたことも伝えられているが、どうみても威信低下は疑うべくもない。

このなかで、麻生首相の態度はヨーロッパ諸国と比べるとそのちがいが際だつ。
彼は「ドル基軸体制を支える努力を払うべき」と提案したのだ。
率直にいえば、アメリカ発の金融危機に世界が直面している今こそ、米国が主導してきたカジノ資本主義の破綻をしっかり受け止めて、これまでの米国のいうことなら無条件に受け入れるというような米国との従属関係を、一から見直す好機ではないのか。
こう考えると、ここに至っても米国主導を支えることを提案する首相は、たとえると誰からも支持されず没落していく貴族に、一人手を貸そうとする僕のようなものだ。
世界の認識ははるかに先をいっている。

麻生首相は、IMFの資金増強のために1000億ドル(10兆円)を融通することをのべたが、この上に、米国を助けるために円を売って低下しつづけるドルを買うような愚挙を許してはならない。
(「世相を拾う」08237)