円安は何をもたらしてきたのだろう。


今朝のNHKニュースは、外国為替市場で急速に円高ドル安が進んでいることを伝えていた。
円高になると、どうなるの?
いまやマクドナルドを知らない人はいないだろうが、その認知度は、ビッグマック指数なるものが国際的に認められていることでも明らかなように、確実に大きい。世界的知名度。なにしろ購買力平価をみる一つの尺度になっているのだから。
ビッグマック指数
この指数はもともとイギリスの「エコノミスト」の発案によっている。
それは、全世界でほぼ同一の品質ものが販売されているので、購買力の比較に用いるのに適しているという判断にもとづいていた。

これにしたがえば、日本のビッグマックの価格は、税込み290円(08年1月・東京都、日本マクドナルド)。課税前価格は276円になる。ニューヨーク・マンハッタンでは3.49ドル(課税前)。
だから、仮に課税前価格を同一になるようにすると、為替ルートは1ドル=79.1円となる。
これを購買力平価と考えてよい。

けれど、実際の2月半ばの為替レートは1ドル=107.7円なので、ビックマック指数とくらべると実際は円安、つまり円が大幅に評価されていることになる。

置き換えると、つぎのようになる。
東京で買ったハンバーガーは、ニューヨークにもっていくと、3.49ドル。ようは、日本円にすると376円になる。東京で276円の元手のものが376円で売れるわけだから、そこに明らかに利益がもたらされる。もちろん、輸送にともなう食品の劣化などここでは考慮にいれていない。

そこで考えたいのは、トヨタなど自動車産業が輸出によってどんなふうに利益をあげているかということだ。
そのために、ここで、自動車1台はビックマック1万個分に相当するという等式がどの国でも成り立つという条件を前提とする。

すると、日本で276万円(課税前)の自動車はアメリカで3万4900ドルになる。だから、日本から輸出して売れれば、利益を売ることになる。ちなみに先の2月半ばのレートによれば、375万8730円になる。ようは、単純に100万円近いを利益を得ることになるのだ。
この間、日本で起きたことはこんなことではなかったのか。トヨタはこうして莫大な利益をあげてきた。

ビッグマック指数と一口にいっても、たとえば各国で原材料が異なることなどもあって単純ではない。が、購買力を単純に比較するには簡便な指標となる。

ようするに、自動車産業が輸出によって、円安といわれる際に、どのように無条件に利益をあげているのか、定性的によく理解できるのではないか。その上で考えるのは、輸出産業はさらに輸出戻し税というまったく労力を要しない減税のしくみ、というより収益増のしくみが存在するという事実だ。高い収益はこうして確保されている。

逆に、円高ならば。単純にいうと、以上の逆のことだから輸出企業の利益は減少するはずだ。その際、国民はどうなるのか、考えてみるのも悪くはない。