社会保障抑制も限界
首相も、この間の社会保障費の自然増抑制に限界があることをあらためて認めた。これまで、舛添厚労相が繰り返し社会保障削減に限界があることをのべていたが、これを追認する格好になった。
日経が以下のとおり報じている。
福田康夫首相は26日の衆院予算委員会で、高齢化に伴い自然増が続く社会保障費について「今まで歳出改革の対象にせざるを得なかったが、ずっと続けるのは実際難しい。社会保障の質を下げることになるのでおのずと限界はある」との認識を示した。民主党の前原誠司副代表が社会保障費について「無理に削るのが医療崩壊を加速させている。見直すべき時期だ」と指摘したことへの答弁。
政府は「骨太方針2006」で、社会保障費の自然増について、5年間で1兆1000億円圧縮すると明記。08年度予算案でも薬価引き下げなどにより2200億円抑制していた。首相発言は直ちに目標を修正する意向を示したものではないとみられるが、今後の財政運営に影響を及ぼす可能性がある。
社会保障削減によって、諸々の場面で矛盾が噴出している。これが、現状だろう。
医師不足とそれを要因の一つとする救急医療の機能低下、産科医療の地域からの撤退と縮小、患者の「たらい回し」。そして後期高齢者制度にみられる制度設計の現状…。
いずれも今日、医療崩壊というくくり方を支持しているように思える。
政府はすでに12日、「医師は総数としても充足している状況にない」とする閣議決定をおこない、医師不足について認めている。
小泉構造改革に象徴される新自由主義的施策は社会保障切り捨てを一つの特徴としたが、その破たんともいえる。
ただし、こうも考えることができる。
昨年10月、経済財政諮問会議で御手洗富士夫氏ら民間委員は、あえて高負担・低福祉の試算を示してみせた。
社会保障推進会議での議論のゆくえが気になるが、削減の方向をいったん打ち消しながら、持続可能なものにするために消費税増税は不可避という宣伝が強まるか。
削減か消費税増税かという二者択一を迫ることも大いにある。