緊張高まる中南米。


日経のベタ記事(12・17);「改憲案反発し4県『自治』」からの引用。

南米ボリビアで15日、民族主義色が濃い憲法改正案に反発して、同国に9つある県のうちサンタクルスなど4県の知事が「自治」を宣言した。改憲を勧めるモラレス大統領が「大地主たちは国民投票での敗北を恐れている」と非難するなど、政治的緊張が高まっている。

中南米の中道・左翼政権の連続する誕生を、一種の押し寄せる大波のように感じてきた。そこに共通するのは、明確な反・新自由主義の態度だ。貧困と格差の打開を訴えて政権が誕生した。
もう30年以上も以前の話だが、チリ・アジェンデ政権は、米国の支援を受けた反革命勢力によって倒された。政権打倒の先頭にたったのがピノチェト将軍だった。
このチリ左翼政権の誕生と崩壊を知る者にとっては、上記記事はどことなく当時のチリと相似するものを想像させる。
ベネズエラでは国民投票の結果、改憲案は否決され、それを機に、いっそう同国内の対立が深まるだろうと思っていた。
背後に何があるのか、記事から判断することはできないが、ベネズエラでは反政府勢力の動きが活発化しているようで、国民投票期間中もスマチという団体の反政府の動きはすでに報じられてきた。米国はどのように動くのか、興味あるところだ。

ベネズエラチャベス国民投票に表れた同国民の改革への意識を尊重する姿勢が何よりも求められているように、モラレスにも徹底して国民の意思を尊重する態度を貫くことが不可欠か。そのことが結果的に、反政府の動きを封じることにつながるし、改革への道筋もむしろ明確になるのではないか。

アジェンデ政権当時との決定的なちがいは、すでに反・新自由主義の波が形作られ、国家間の連帯もまた可能であることだ。
そのちがいは決定的なもののようにも思えるのだが。