党首討論では密室協議を再現したら。

党首討論「機会あればいつでも」 民主・小沢代表が反論(朝日新聞)

福田首相民主党の小沢代表の党首討論が今国会で一度も行われていないことについて、小沢代表は11日の記者会見で「党首討論は私が主張して導入した制度だ。機会があれば、いつでも応じるつもりだ」と述べた。与党側から「小沢氏は党首討論に消極的だ」との指摘が相次いでいることに反論したものだ。
一方、自民党大島理森国会対策委員長は同日、国会内で「党首討論が開かれないことは残念だ。二大政党制の中でリーダーの大局にたった討論こそ、国民のためになる」と述べ、小沢氏の対応に不満を示した。
党首討論を巡っては当初、与野党が12日の開催で調整していたが、中止となった経緯がある。

小沢代表の反論も致し方なし。秘密裏に首相と会い、連立で一致したものの、結果的に今の時点ではうまくいかず、同氏は元の鞘に収まったのだから。
いまさら公に討論するといっても、それはお互いの対面を保つ以上のものはない。
以前に、、党首討論というB級映画というエントリーを公開したが、むろん言及したのは福田首相との党首討論ではなく、安倍首相と小沢氏のそれについてだった。事態は、そのとき以上に滑稽ではないか。密室で何やらこそこそと二大政党の党首が話し合っていた事実があるのに、今度は表に出てやって、実りある議論が可能なのか。小沢氏は今でも連立は正しいといいながら、片方で民主党をリードしているのだから。
いっそ密室の話し合いの始終を、そっくりそのまま再現してほしいものだ。
そうすれば、福田氏はもちろん、小沢氏の考えも国民の前にはっきりと映しだされるわけで、二大政党とは何か、自民党とは、民主党とは何か、これらが手に取るように分かるのではないだろうか。
実は、これらの諸点は今後の日本の政治のありようを考えていく上で、とても重要な事柄だと理解する。だから、党首討論をやるのなら、福田・小沢密室協議をぜひ寸分もたがわず再現してほしい。

以上の点にかかわって、小沢氏の、そして民主党の素性をすでにはっきりと見抜いている人がいた。高村薫氏。一節を紹介する*1

民主党は「一度は政権交代を」という国民の切望を背負ってきたものの、政党としてその任を果たすだけの内実を、いまなお持つに至っていないのは明らかだ。「再生」を言うなら、政権交代のために小異に目をつむることが結果的に政党の力を分散させてきた事実を、まず省みるべきである。小沢新代表の「豪腕」への期待ムードだけで好転するほど、民主党の抱える問題は容易ではない。

06年4月の文章だが、ほとんど民主党の現状をもとらえていると思う。
とはいえ、新テロ特措法成立のためなら越年も辞さないという福田首相の「決意」をくだくために、民主党も廃案めざして奮闘してほしいのだが……。
とりあえず、党首討論では密室劇の再現を願う。

*1:「まず党の内実、省みよ」(「朝日新聞」2006年4月8日朝刊、『作家的時評集2000-2007 (朝日文庫 た 51-1)』)