医療は共同の営為。

病院内での暴力問題が深刻化し、病院側が苦悩している。医療スタッフだけでなく、患者が巻き込まれるケースも後を絶たず、8日には佐賀県で入院患者が打たれ死亡する事件まで起きた。施設内の安全確保という観点から警察OBを採用する一方で、患者側にも「暴力行為は即退院」との誓約書を求めたりするなど対策を強化。(ただトラブル増加の背景には医療不信の高まりなどもあり、患者との信頼関係をいかに回復するかという重い課題も見えてくる。

日経新聞(11月11日)「院内暴力 対処急ぐ」

要は、患者との信頼関係をいかに回復するかということなのだが、それは医療機関側の、たとえば診療報酬の不正請求な医療事故などのみによって損なわれているのではない。id:coleo:20071101:1193903240(「理不尽なクレーム」。)でふれたが、医療にたいする患者側の期待と医療技術の限界という矛盾にも起因している。それは、つきつめると、人間は死から免れることはできないという不安と、医療の不確実性との矛盾でもある。医療とは医療従事者と患者との共同の営為であるという認識を深めることが双方に求められている。