ネットカフェ難民;社会の縮図としての空間


昨日のメディアで、ネットカフェ難民が大きく取り上げられている。
朝日新聞(4・28)は、ネットカフェ難民が広がり、7割の店に「長期・常連」がいる実態を伝えた。

2、3年前から暮らしている、仕事が忙しすぎて帰宅できない――。インターネットカフェや漫画喫茶に寝泊まりする「ネットカフェ難民」の実態を知ろうと、各地の労働組合や民間団体が全国規模で聞き取り調査をし、27日に結果を公表した。調査した34店舗の4分の3に長期滞在者がいて、「難民」の広がりと深刻な実態が浮き彫りになった。

調査は宮城、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、奈良、大阪、兵庫、福岡の10都府県で今月実施。ネットカフェの店員に質問したり、利用者に年齢や泊まる頻度、理由などを尋ねたりした。
その結果、利用者84人が質問に答え、兵庫をのぞく9都府県の26店舗に「宿泊常連・長期滞在者」がいた。

ネットカフェ難民とは、ネットカフェで寝泊りをすることを直接はさす言葉。ネットカフェで寝泊りするには、それなりの理由があるはずだ。
同紙が伝える利用者の声は、「2年間ネットカフェ。深夜のアルバイトをしているが、仕事が不安定でアパートを借りようと思えない。夕方から働き、朝6時にネットカフェに帰る」(東京都・20代男性)、「家がない。正社員になれず、職を転々として当座のお金を稼いでいる」(愛知県・40代男性)、「3年前から夫の暴力を苦にネットカフェ暮らし。パートなどで月収9万円」(東京都・30代女性)など。 「飲食店の正社員。家に帰ると寝る時間がなくなるので週6日はネットカフェに泊まり、日曜日だけ家に帰る」(東京都・20代男性)など、厳しい長時間労働が背景にある事例も複数あったという。

この現実は、特別な青年の問題だろうか。日本の社会の一面がネットカフェの、きわめて狭いスペースに押し込まれているような気がしてならない。亀裂はもっとも弱い部分で現れる。その一つが青年層だということなのだろう。先の利用者の言葉は、日本社会の貧困と格差が広がり、青年たちがそのあおりをくっていることをそれぞれ示している。

しかし、現象がネットカフェをとおして現れていることで、ややもすると、一部の限られた、特別の条件下にある青年のことと断じてしまう傾向がうまれないともかぎらない。以前のニート論議もそうだった。
たとえば「仕事もしないでブラブラしているヤツら」という断定にみられるような、それまでのニート観にたいして、本田由紀氏らは、真の問題を覆い隠しているとして実証的に反論を加えた。青年は、社会の矛盾を引き受けてしまう、引き受けざるをえない不安定層だろう。

この現実はさらに広がりマック難民という実態もある。
労働組合首都圏青年ユニオンなどが、政府や行政に問題解決を働きかけていくという。個人の努力だけでは解決できない社会問題として私たちがとらえ、共有し、解決すべき問題だといえそうだ。