これから参院選までの間− もう一段階先にすすむかもしれない


勝ち負けを弄ぶのは、個人的に好みません。メディアは常に勝負事に関心があるようですが。
しかし、以下にのべるように、今回総選挙後の政治をどのように想定するかということと、来年の参院選はけっして無関係ではありません。
政治の世界は選挙で決まる。つまり、今回の民主党の大勝で同党自身が得た条件を参院選後も、一つの政党として維持しようと思えば、今回衆院選で同党に結果的に投票したという有権者の意識を配慮せざるをえないからです。
とすると、今から参院選までの間は、おそらく従来の自民党とは異なる方向に政策的にかじが切られるであろうと推測できる。現に政権誕生時の各閣僚から発せられる言葉の一つひとつが、まさに国民向けに、いわば最大限のアピールとなっているではありませんか。
一つ例にとれば、長妻氏の後期高齢者医療制度は廃止する旨の発言のように。

こうしたベクトルは、しばらくは、少なくとも参院選までは強調されつづけると私は思います。
ですから、国民・有権者の立場で、この事態を主体的にとらえるならば、この1年足らずの期間に、精一杯がんばって、むろんそれぞれの置かれている環境からのさまざまな発信が大事だと私は思いますが、国民の求めてきた要求を新政権に約束させることです。民主党が公約でかかげていたものであればなおさらです。つまり言質をとっておくこと、これが第一です。
もう一つ、国民・有権者として考えないといけないだろうと思うのは、この期間に参院選後の民主党民主党政権の出方を予測し、これに判断を下すという準備作業をしなければならないのではないか、ということです。
ようは、民主党が本来、考えているであろうことは、参院選後に具体的な形で提起されるということです。逆にいえば、それまでは、国民にとって、よりよく受け止められる正の部分が前面に出てくると予測できます。

話を先にすすめると、参院選後の民主党の姿勢を国民・有権者が縛るところまで議論が先に進むようにしなければならない。そのためには、民主党の以前に主張してきたことを今、思い起こさなければなりません。正とは反対の、国民にとっては負となる部分です。たとえば、消費税増税憲法改正、海外派兵などなど。
これら一つひとつが日本の将来にとって、ないがしろにできない重要な問題だと私は考えているので、これらそれぞれにたいする民主党の主張をあらためて国民の前に提示してほしい。提示させなければなりません。

この1年で実績をつみあげよと毎日が主張しているのを、一つ前のエントリーで扱いました。が、実績を積んでほしいのはもちろんですが、そのことで民主党の政治のすべてを決めてしまうわけにはいかないのです。ジャーナリズムの精神が、国民が判断するに足る良質の材料、情報を伝えるものだとすれば、実績紹介にとどまらず、民主党のその意味での本音を取材し、国民に提供してしかるべきでしょう。
むしろすでに予定がはっきりと決まっている来年の参院選こそ、以上の意味であえて勝負なのです。実績だけでなく、本来、民主党が何を考えているのか、この1年の間にわれわれ国民が明らかにする作業と努力がきわめて重要な意味をもつような気がしてなりません。