「働かせ方」をかえる。

働き方とそのルールをどのように確立するか、日本社会の当面の対抗軸だとのべてきた(参照)。しかし、働く者が自分の働き方を支配できるような日本社会ではなくて、働く者をどのように働かせるか、支配してきたのはいうまでもなく、財界と大企業だった。


だから、この現状を少しでも働く者にとって改善しようと思えば、働かせ方にルールを課す、すなわちこれが働く者にとって働くルールを確立するということになる。
ごく大雑把にとらえると、企業の働かせ方は、法制度の改悪によって、企業の思いどおりに、むしろ働く者にとっては後退と位置づけられる方向にかえられつづけてきた。その方向は、規制緩和の名のもとに戦後労働法制による(働かせう者への)縛りを取り払うそれであったといえる。

例をあげると、1986年に労働者派遣法が施行された。以来、規制緩和の連続で、ついに320万人を超える派遣労働者が今日の日本には存在するといわれている。
こうした非正規雇用の拡大が今日の貧困の根底にあることがしばしば指摘されてきてもいる。いいかえると、このような非正規雇用拡大の現状を見直すことは、日本社会にとって解決すべき重要課題だととらえる。

そこで、確認しておくべきことは、たとえば派遣労働をめぐって、少なくとも規制緩和から規制強化の方向への転換の兆しがみられることであって、これは重要な変化だと思う。

派遣法改正をめぐる論点のなかでは、日雇い派遣と登録型派遣が中心的位置をしめるでしょうが、舛添厚労相日雇い派遣について、ある意味で踏み込んで言及している。真意はこの記事だけでは定かではないが。

日雇い派遣に反対する立場の使用者は、(日雇い派遣は)「派遣先の要請にこたえて迅速かつ円滑に労働力を提供できるというメリットがある」などという。
また、日雇労働で生計を立てている人のニーズも持ち出されたりもする。これに似たような主張はたとえば、池田信夫氏。
しかし、前者は、派遣元企業が派遣先企業からその日限りの仕事を受注し、登録スタッフにたとえば携帯電話で連絡をとり、労働者が現場に着いて雇用契約が成立するというものだろう。スポット契約の究極の形態だ。労働者にとって仕事の詳細が分かろうはずはない。時間的余裕はない。逆に時間との総武ともいえる性格の派遣だともいえる。だから、働く労働者にとっては、まさに消耗品という扱いを受けることになる。
このしくみの非対称は明らかなのだから、弱い立場の労働者はつねに(働かせる側の)違法と直面しているともいえる。最低限の歯止めを、業種を指定すること、職業紹介事業を経由することに求める必要がある。

さて、池田氏にみられる日雇い派遣の存続をもとめる主張。
たしかに、自分に都合のいい日に働きたいという希望はあるのかもしれない。しかし、その際も、それが日雇い労働という形態でなくてはならない理由はみつからない。その必要はない。職業紹介を介して、少なくとも労働者が仕事内容を確認でき、就労条件を確認した上で、労働契約を結ぶことが労使双方にとってもメリットにつながるだろう。

間接雇用よりは直接雇用が雇用者責任を明確にできる。また、不安定雇用を解決するには、有期雇用を原則禁止にすることが重要であって、日雇い派遣を残すべきというのはあたらない。つまり、期間の定めのない雇用の原則を確立することだ。
すなわち、恒常的に存在する仕事ならば、期間限定の雇用契約を結ぶことを禁止し、また、雇用の更新という名で勇気雇用の反復を許さないことをはっきりうたうべきだ。