「たばこ」なのか、選択肢は。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080604-OYT1T01135.htm

自民、民主両党など超党派の国会議員が近く、たばこ税の引き上げを目指した議員連盟を発足させる。自民党中川秀直・元幹事長らが呼びかけている。

 議連は「たばこ1箱1000円」をキャッチフレーズに活動を始める予定だ。

 中川氏自身はヘビースモーカーだが、たばこ税増税を消費税増税の回避策として考えている。中川氏は福田首相にもたばこ税の増税を進言し、首相も前向きな考えを示しているという。議連とは別に、今月11日には、自民党の尾辻参院議員会長らが呼び掛け人となり、たばこ税に関する勉強会も発足する予定だ。

(2008年6月5日03時07分 読売新聞)

消費税増税を政府与党、財界がいっせいに主張しはじめ、財政審会長が念を押すように来年度予算編成の前提に消費税増税をすえるよう、注文をつけている。
冒頭の記事が伝える動きは、あたかもこのような事情にこたえるかのようにみえる。
だが、消費税増税の一方で法人税減税と所得税の累進性緩和という税制「改革」がこれまでつづいたわけで、問題は、この路線を今後とも踏襲するか否かという点に尽きるのではないか。
したがって、論点は、消費税を増税するのか、法人税減税を止め税率、所得税の税率を元に戻しすかどうか、と端的に表される。ようするに、税をどこからとるかという点での対抗軸はここにある。したがって、これをどのように考えるかは、すなわちどの階層の利益を代弁するかに接続していて、階級的である。

このように考えるならば、中川秀直氏が考えていることは、論点を意図的にずらしているといえるだろう。別の言葉でいえば、いうまでもなく法人税増税を回避するための主張である。
消費税の税率アップをはじめこの間の消費税による税収は、法人税減税による税収不足を補うものであった。それだけではなく、その法人税減税の恩恵を享受してきた、いわゆる大企業は、正規雇用を非正規に置き換えてきたし、これによる人件費削減、あるいは社会保険料負担軽減など法定福利費削減効果によって、確実に内部留保を蓄積してきた。
だから、たとえば消費税のように広く大衆的な課税によって、その結果、庶民の負担が相対的に増え、一方の企業は減税と人件費削減によって潤ってきたのがこの間の構図だろう。

こんな一連の経過を考えると、この間の税体系の抜本的改革の名のもとにとられてきた大衆課税路線を反転させ、もつものが負担するという直接税の累進性を高めることが今、必要なのだ。

中川氏らの動きは、だから欺瞞にみちたものだといえる。