米兵暴行事件はどこにいったか。


懸念していたとおり、メディアでは、米軍の暴行事件追及の手は完全にどこかに消失したかの感が否めない。
このエントリーで、イージス艦と漁船の衝突事故が起き、関心がそこに集中すると、一方で、冒頭の米兵の事件が人びとの心から遠のき、かすんでいくような気がしてならないと私はのべたが、事態は残念ながらこの推測どおりにすすんでいるようです。見事に米兵暴行事件を扱った記事は消えた。米国の、あるいは米軍のほくそえむ姿が眼に浮かぶ。

他方で、こんなニュースが伝えられている。

米軍横田基地福生市など5市1町)で23日、米軍の大型輸送機C17に陸上自衛隊のヘリコプターCH47を積み込む訓練があった。日米のこうした訓練は初めてといい、米軍や自衛隊の関係者ら約100人が参加した。

 訓練名は「太平洋長距離航空輸送セミナー」。C17の後方に大きく開いた搬入口から、プロペラを外したCH47がワイヤで引き上げられ、自衛隊員や米兵が手順を確認。約30分で積み込みが終了した。

 同基地は「国連を中心に多くの国が共同で災害支援などをする機会が増えている」と説明。「輸送機で近くの空港までヘリを運び、迅速に災害現場での活動ができるようになる」としている。

この記事が伝えるのは、日本列島はいまや日米共同の作戦の舞台として完全に機能しているということだろう。すでに米軍横田基地に日米共同の戦争作戦指令部、「共同統合作戦調整センター」(BJOCC)が設置されている。
NHKスペシャルの「リアリズム」と日米同盟の今日


先にあげた「朝日」の記事は、在日米軍再編の日米合意(2005年10月)で打ち出された日米の共同作戦センター設置にもとづいて、着々と作戦が実践に移されていることを示すものだ。
だとすると、沖縄の米兵の暴行事件、そしてイージス艦「あたご」の衝突事件は、われわれ日本国民の安心・安全とはまったく無関係に、日米両軍の共同作戦の具体化が、おそらくそれは米国の戦力にいかに日本が協力できるかという一点でのみ進められているということを教えているのではないか。