[社会]医療費未収金の大半は生活困窮


新聞でも報道されているが、国立病院の未収金の大半が、患者の生活困窮を原因としていることが明らかにされた。
国立病院の未収金「生活困窮」が大半(キャリアブレイン)

新規分11億2,329万5,000円の発生理由をみると、「生活困窮」が10億3,650万円と、全体の92.3%を占めた。「診療上のトラブル」に伴う未収金も2,062万7,000円(1.8%)あった(表)。
 生活困窮に伴う医業未収金は、昨年1月には9億3,504万7,000円だったので、単純比較すると1年間で1億146万2,000円増えたことになる。



景気は回復しているといわれているが、一方で家計は温まっていない。一部の大企業に富が集中する結果でもある。
賃金が抑制される一方、たとえば定率減税の廃止などで税負担はたしかに重くなった。調査結果は、こうして可処分所得が減っていることの反映だといえるだろう。
可処分所得が減れば、受診せざるをえなくなって受診しても医療費を支払う余裕など感じられなくなるだろう。


所得が減るだけでなく、少し長いスパンでみると、医療費負担割合がふえている事実もある。自己負担割合は1割、2割、3割と増えることはあっても、減ることはなかった。
生活保護は水際で受給を抑えようと圧力が強まるなかでも、減る傾向にはない。これは、貧困が広がり、受給したいと思う人びとが増える条件が広がっている一方で、受給していた人を生活保護から「卒業」させる圧力とのバランスの結果であるとも推測される。しかし、「卒業」した人びとが、生活状態が改善する者ばかりとは限らない。そうなると、受診すると支払えないことも考えられる。


記事が示すのは、日本社会の貧困化の一面である。