バラバラ批判に反論不能の党と末期的な統治能力不在の党

「「バラバラで何が悪い」=岡田氏、開き直る−民主

「バラバラで何が悪い。いろんな考え方の人がいるのは当たり前だ」。民主党岡田克也幹事長は30日、横浜市で開かれた次期衆院選の立候補予定者の会合で、民主党自民党から旧社会党までの「寄り合い所帯」とやゆする声があることに対し、こう反論した。
岡田氏は「バラバラと言われるのはあまり好きじゃないが、最近は開き直っている」とした上で、「米国を見て下さい。多様な人種、考え方、宗教があるからこそ強い」と強調。「違いが一つにまとまったときに、すごい大きな力になる。最後は幹事長の力量だ」と自らを奮い立たせていた。 


岡田氏でなくても、誰もおそらくまともな反論はできないので、岡田氏を責めるのは酷な気もしますが、しかし、幹事長としては失格でしょう。バラバラというのは単に意見の多様性をいっているのではなく、政策的に統一できないことを直接的に指すでしょう。だから、当ブログでのべてきたように、これまでも様々な問題で、それぞれの立場から民主党議員が発言することはあっても、基本方向をまとめずに、政権交代後まで先送りしてきたことがしばしばありました。
岡田氏のいうところから判断すれば、党内の意見の多様性をむしろ評価し、それを押し出そうとしています。民主党の議員個人は、顔が違うように考えることも異なるのは当たり前です。しかし、そんなことをいってもはじまらない。
一つの政党に所属するのは、すなわちその政党の綱領を認めているという前提にたつのが普通でしょう。が、この政党には、簡単な基本理念と基本政策はあるが、綱領がない。
逆にこうした、緩やかな規定とせざるをえないのは結党時の事情によるのでしょう。多様な意見のものを一つの党にまとめることが時代の要請、つまり二大政党政治をめざす勢力の課題であったと考えることができるでしょう。

しかし、ここには最近の定数削減問題での民主党の態度に明確なように、本来の有権者の意識、民意を国政に反映させるかという視点を欠落させたまま、選挙制度の設計のみに終始する、極論すれば党略的な態度と相通じるところがあるような気がします。
ようするに、民主党の結成というのは、当時の非自民勢力の最大結集を図ることを優先するという、国民とは乖離したところからはじまったのですから。以来、規約のなかにもしばしば民主党国会議員という言葉が使用されているように、議員政党たる民主党(への所属)が、自らの選挙に有利か否かという尺度で少なくない議員・候補者は所属を決めてきたくらいです。
こうした議員たちがいかに多いか。現在の民主党国会議員をみてみるとよく分かります。小沢一郎はもちろん、鳩山由紀夫岡田克也山岡賢次だって、そうです。しかも、遍歴がその意味で華やかな人が少なくないのですから。

こうした結成以来の経過に示されるとおり、もともと民主党というのは明確な政治路線というものが規定できない政党だといえますが、貫かれているのは、第二自民的な位置と役割です。したがって、きわめて相対的な政党だといえるかもしれません。この党が選挙時にはマニフェストをつくり有権者に宣伝したとしても、
この性格からのがれることはできない。

衆院議員の任期満潮が一日一日と迫りながら、私が決めるとってきた解散も結局、これまでできなかった麻生太郎。有終の美をなんとか飾ろうという思いも首相にはあるのかもしれませんが、政権の実態は、これこそバラバラなように受け取れます。麻生のガバナンスなどあってないようなものです。安倍、福田、そして麻生とただ政権を維持するために信を問わずに、政権の交代を3代にわたって繰り返してきた事実は、いよいよ戦後の自由民主党による政治がゆきづまり、破綻しているという実感を国民に与えるに十分です。

今日の国民生活の窮状をもたらしているこの自民党政治の転換こそが、麻生氏が首相でなくなる日に求められる課題でしょう。それは、統治能力を失った自民党がやってきた政治が変われば転換できるというものではありません。たとえば税のつかいみちを根本的にかえなければなりません。大企業を優遇するのではなく国民・有権者本位に切り替える。税の取り方もまた、大企業優遇税制をやめ、応分の負担を迫る。消費税以外の財源を提示する、などなど。
これらを主張しないでは、自民党政治の転換はできません。

もともと議員を束ねるための、一種の方便に近いような、あいまいな基本政策しかもちえない民主党にそれができるとは私は思いません。本来、ばらばらでなければならない政党と、いよいよ政党の大もとが事実で問われることになり、かじとり不能にたちいたっている政党が政権を争うという構図が前提としてあるかのように伝えられるのですが、この2つの政党のばらばらの意味を考えてみると、実は別の側面から同じことを語っているように思えてなりません。