小沢案もたらい回しにすぎない。。


首相は5月までの決着を会見でのべたものの、いまだに党内および政権内でさまざまな発言が繰り返されていて、ゆく先は定かではありません。しかし、この発言。この人物がいったん口にした発言は、党と政権を事実上、拘束してきたのは周知の事実です。だとすると、普天間基地移設問題のおとしどころが、みえたということと受け止めることができないわけではありません。
小沢一郎がこう発言したのは、連立を組む3党の幹事長・国対委員長の忘年会の席上だと。読売の記事では、小沢が(現行案に)難色を示したということだけを伝えています。中身はこれではまったく分かりません。が、毎日が一歩、踏み込んでいます。以下の2つの記事を読み比べてください。
小沢が示した代替案は下地島

与党忘年会、小沢幹事長が普天間現行案に難色
民主、社民、国民新の与党3党の幹事長・国会対策委員長が29日夜、都内の日本料理店で忘年会を開き、2時間余り歓談した。
出席者によると、民主党小沢幹事長は、来年夏の参院選で社民、国民新両党と選挙協力を行う考えを示した。さらに、「来年の盆と暮れもこうやって会合を開こう」と述べ、参院選後も3党連立を継続する意向をにじませた。また、沖縄県普天間飛行場の移設に関し、「きれいな海を埋めるのはだめだ」と語り、現行案に難色を示したという。

普天間移設:小沢幹事長「下地島」提起
民主党小沢一郎幹事長は29日夜、東京都内で開いた与党3党の幹事長・国対委員長の忘年会で、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題について「(同県宮古島市の)下地島に使っていない空港がある」と述べ、現行計画に基づく米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)に代わる移設先として、下地島を検討すべきだとの認識を示した。
小沢氏は会合で、社民党重野安正幹事長に対し、普天間飛行場の移設先について「あなたのところ(社民党)は、沖縄県だったら全部駄目なのか」と質問。重野氏が米グアム移設案を重ねて主張したところ、小沢氏が下地島案に言及したという。小沢氏は「きれいな海を埋め立てるのは駄目だ」とも語り、現行案での決着に否定的な考えを示した。
下地島沖縄本島と台湾のほぼ中間にある。3000メートルの滑走路を持つ下地島空港(79年7月開港)があるが、現在定期便はなく、航空会社がパイロットの離着陸訓練などに利用してきた。普天間飛行場の移設先として浮上したこともあり、北沢俊美防衛相は10月、井上源三地方協力局長を派遣し、沖縄県伊江島などとともに視察させていた。
忘年会には、民主党から小沢氏のほか、山岡賢次国対委員長社民党からは重野氏と辻元清美国土交通相国民新党から自見庄三郎幹事長と下地幹郎政調会長がそれぞれ出席した。小沢氏は席上、来夏の参院選後も3党連立体制を続ける意向を示したという。

下地島宮古島市)は、ご存知の方がおられるかもしれませんが、同島の空港が民間パイロットの訓練空港として使用されていることで知られています。2002年には、全日空機が訓練中に大破したことで話題を呼びました。自衛隊の同空港使用もこれまで議論になってきたようです。ただし、同空港の軍民共用については、革新屋良琉球政府時代に覚書が交わされており、できないこととされています。
小沢の発言は、外形的には沖縄県民の県外移転と、辺野古への移転は認めないという強い意思を慮りつつ、米軍も同島に関心をこれまで示しているといわれてきましたから、米国の顔もうかがいながら、結局、たらい回しをしようというものにほかなりません。小沢がもちだしている案は、県外移転でも、むろん即時撤去にふさわしい内容でもないということです。そもそも県民の願いと米国への追随を同じ天秤にかけようとする考えに私は同意できませんが、米国の要求にこたえようとする点で同党の閣僚などの発言と基本線は少しもかわらず、それを県民の願いに優先させようとする結果の代替案といえるのではないでしょうか。移転問題の真の解決という点では、米軍の基地は、米国に返すという以外に、その方向はないとあらためて考えるのです。しょせん発言は忘年会の席上のことではありますが。。