行き着くのは消費税増税


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消費税増税という既定の路線

衆院選で消費税上げ提起を 仙谷氏「財政持たない」

仙谷由人行政刷新担当相は27日のNHK番組で、次期衆院選で消費税率の引き上げを提起すべきとの認識を示した。「議論を始め、3年後か4年後か分からないが、選挙のときにお願いすべきはお願いするという立場じゃないと(財政が)持たない」と述べた。
同時に「産業構造が転換し、所得が10年で100万円も下がる時代には財源をどう調達するか、財政規律をどう守るかという展望が必要だ。部分を議論しても太刀打ちできない」と指摘。消費税の税率引き上げを含め税制全体の抜本改革に向けた議論を急ぐべきだと強調した。

民主党政権の予算案は、子ども手当や高校授業料無料化など、改善と評価できるものがあっても、全体としては有権者の期待にこたえるものでしょうか。何より、財源を借金と埋蔵金頼りという予算であっては、今後の行方に不安が残るものでした。
結果、この発言です。2つ前のエントリーで「消費税増税という「切り札」が今後、準備されていることは容易に推測される」とのべました(参照)。
仙谷発言はこれを裏づけました。消費税増税の前に手をつけるべきところがあるのではないか。法人税減税を元に戻すことが可能ではないか、このことを当ブログでは再三、のべてきました。が、それは民主党政権をもってしても叶いませんでした。依然として、自民党政権同様に、財界、あるいは米国を聖域とする考えが貫かれています。こうした聖域を根本から問い直すことなく、大衆課税の最たるものと消費税はこれまで指摘されてもきましたが、消費税増税という財源確保を採ることについて反対せざるをえません。メディアでは、高福祉低負担はありえないなどと、くりかえし消費税増税のための世論づくりが強調されています。そうした議論は、法人税の減税には一言たりとも触れないという共通する特徴があるようです。

構造改革がすすんだ時期に労働者の懐は温まらず、一方で、大企業といわれる一握りのグループは内部留保という貯め込みを倍加させたことが指摘されてきました。その一部を吐き出すことくらい、可能なはずなのですが、民主党政権もまた、財界には甘い。あれほど事業仕分けでは削減を口にしてきたのに、財界にたいしても、米軍にたいしても、仕分け人といわれる議員たちの振り下ろす刃は鈍かった。というよりも、振り下ろさなかったのではないのか。ここに、民主党の政権の性格の一端が正確にでているのではないでしょうか。
まず、法人税減税を改めることを検討したのか。むしろ研究開発減税*1など、大企業向けの施策を継承してきたのが事実でしょう。減税をほぼ独占してきた大企業と財界。

仙谷由人のこの発言は、そうした民主党の宿命を語るべくして語ったといえるのではないでしょうか。消費税の前に、法人税減税を以前の税率まで戻すことを本気で考えよ、そう民主党に迫らないとならないでしょう。民主党が軸足を国民・有権者に置くのか、それとも財界や米国を優先することに置くのか、いよいよ問われることになります。

*1:試験研究費総額の8〜10%を法人税額から控除できるしくみ。限度額は法人税額の20%まで。税額から相当する額を差し引くのですから減税効果は大きい。この研究開発減税の97%は大企業が占めており、ほぼ独占する形です。なお、09、10年度は限度額は法人税の30%とされています。