改憲を公言しはじめた首相


今朝早く、新聞社のサイトをみてまわると、こんな記事が掲載されていました(参照)。
昨日のエントリーで取り上げたことが、こうして鳩山首相がのべるという現実になる。これを直視せざるをえません。憲法改定が早晩、焦点になるということです。
もともと鳩山由紀夫改憲論者。改憲議連にもまだ名を連ねているのですから、当然といえる発言といってよいかもしれません。「必ずしも9条の話ということではなく、地方と国のあり方を大逆転させる地域主権という意味における憲法の改正」と本人は語っています。しかし、これは彼がいうのと反対の意味にとらえるべきでしょう。すなわち9条にかかわる点が改憲の第一のねらいだと。この発言が今の時期にもちだされる点に照らしても、そう考えざるをえません。
普天間基地移転問題の処理にかかわって、5月までに決着と首相自身がのべましたが、圧力をかけられ、民主党にとっては待ったなしの状況が米国側からつきつけられています。集団的自衛権容認を憲法上も規定できるような方向づけを、この事態に際して米国にむけて発信しておきたいという思惑は当然あるにちがいないと思うのです。

そこで、鳩山首相がむしろ改憲の理由としてあげている地方分権。「地方と国のあり方を大逆転させる」というのだけれども、地方分権とは何か。民主党はすでに「霞ヶ関の解体・再編と地方主権の確立」という政策提言を発表しています(4月)。つづめていえば、この提言はこれまでの自民党政権が主張してきた地方分権を継承しようというものです。より加速して。自民党のいう地方分権とは、国の役割を防衛・外交など最低限にとどめ、自治体に住民に関わるサービスを押し付けようというもの、やれないときは、広域の自治体が担うというものでした。こうした役割分担論を引き継いでいます。一度はこの考えのもとで、市町村の数を700から800までに絞り込もうというものでした。批判を受け、これをマニフェストから消しました。が、岡田外相は堂々と道州制もありうると発言しているではありませんか。
地方主権というのも、おかしな言葉であって、主権はまさに国民、住民でしょう。そこに基本をしっかり置かなければならない。地方分権という定義で進められようとしているのは、経団連が繰り返し強く主張していることからも明らかなとおり、広域にした分だけ、国際競争力を題目にした巨大開発がやりやすくなるからでしょう。潤うのは財界。だからこそ経団連道州制に熱心だといえるのではないでしょうか。

この間、「三位一体の改革」と称して、地方交付税の削減などで地方財源を切り縮めてしまった。これでいっそう地方自治体の財政は逼迫しました。これを根本的に見直し、財源を戻していくことが必要でしょう。政府が、地方自治体が国の基準以上の福祉の施策をやったら、ペナルティーを科しているくらいの中央集権的な対地方自治体政策をやめるべきでしょう。地方自治体が地方自治法にもとづいて住民福祉の機関として役割を果たせるようにするのが、国の責任だ。この限りで、民主党地方分権とは住民に目を向けたものではなく、財界に目を向けたものといっても過言ではありません。
鳩山由紀夫氏がこの時期に、改憲を口にし、しかもその理由に地方分権などという言葉をもってすることを問わなければなりません。


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