普天間のいま


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きょうの普天間問題・続


こうやって、閣僚の一人が首相もふれた選択肢を打ち消していく。民主党政権の対応は、こと普天間基地移設問題にかぎり、こう表現できるようです。首相の指導力をうんぬんする報道も目に付くようになってきました。この問題での困難の要因を、連立の相手の社民党の姿勢に求めるというのですから、そうした指摘を否定することはできません。首相は、この問題で自らの態度を明確に示したことがあるのでしょうか。二枚舌を使ったり、言い訳に汲々としている姿のみが印象に残るのです。ほとんど迷走状態としかいいようがありません。

普天間移設:防衛相「グアムは困難」

北沢俊美防衛相は9日午後(日本時間同)、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)移設問題の年内決着を先送りする日本政府の方針に関し「在日米軍再編にかなり影響が出る。日本の責任は重い」との認識を示した。交渉当事者の一人が日本の責任に言及するのは極めて異例で、波紋を広げそうだ。米領グアムの米軍基地視察後、同行記者団に語った。

社民党が求める普天間飛行場のグアム移設については「日米合意から大きく外れる。期待して何かをすると頓挫する」と、実現は困難との考えを表明。普天間移設を先送りし、合意にある米海兵隊8000人のグアム移転を先行させることには「一方は片付けるが、他方は後回しというのは難しい」と述べた。

日本政府の対応に関しては「連立与党3党でしっかり腹固めをして、米側と協議に入る。なるべく早く解決すべきだ」と指摘。11日に予定される与党党首会談などを踏まえ、具体的な日本政府方針を取りまとめるとの見通しを示した。

鳩山由紀夫首相は7、8両日、政府方針をめぐり、北沢氏や岡田克也外相ら関係閣僚と協議。(1)年内の移設先決定は見送り(2)対米協議では普天間飛行場の危険性除去など沖縄県民の負担軽減を優先(3)新たな移設先も模索−との方向で調整している。しかし、米国が新たな移設先の検討などを受け入れる見通しは立っていない。

在日米軍再編:普天間移設先送り 行程表、遅れ可能性言及−−平野官房長官

平野博文官房長官は9日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題の先送りに関連し、在沖縄海兵隊8000人のグアム移転なども含む在日米軍再編ロードマップ(行程表)について「普天間の問題がもう少し時間がかかり、次のアクションプランが取れないならば、多少は時間軸の中で変わる可能性はある」と遅れが生じる可能性に言及した。

平野氏は4日の記者会見で、遅れが出ないよう普天間移設と海兵隊のグアム移転を切り離して協議する意向を示していたが、米側の反発で困難な情勢となったことが反映した発言と見られる。また、ロードマップで2014年完了とされる普天間移設が遅れた場合の老朽施設の改修について「どうしようもない部分については対応策を考えなければならない」と述べた。

平野氏のこの発言にいたっては、ほとんど理解しがたい。問題は年内決着するかしないかではなく、たらい回しをするかしないかでもない。政府合意を破棄し、普天間基地の撤去を、米国に通告できるかどうか、その決意が民主党にあるのかないのか、です。
選択肢をいくつか閣僚がこれまで語ってきました。しかし、現状では、自ら前言を翻したり、他の閣僚が打ち消したりと、その選択肢を自ら悉く否定する発言が今、繰り返されています。そして、行き着くのは、結局、日米合意になる。こう推測できるのではないでしょうか。
たとえば、民主党がさかんに、この基地問題が暗礁に乗り上げている要因としてあげている社民党ですが、同党にも、こんなさや当てが始まっています。


福島氏の「連立離脱示唆」発言を批判 社民政審会長

社民党阿部知子政審会長は9日、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題にからみ、福島瑞穂党首が連立政権離脱も辞さない姿勢を示したことについて、「離脱うんぬんを本当はこんな時期に持ち出すべきではない」と批判した。テレビ朝日の番組で述べた。
阿部氏は「もっと(与党)3党で論議し、米国とも交渉しなければ」と語り、福島氏が事態を複雑にしたと指摘した。福島氏は、鳩山内閣が同飛行場の同県名護市への移設を決めれば「重大な決意をせねばならない」と発言。これが4日の党首選での無投票4選の流れをつくり、党内で軽率との批判が出ていた。

民主党がいうほどの、社民の壁は堅く、厚いのでも何でもない。沖縄県民の意思と世論が堅く、厚いのです。
社民党は、つまるところ、小沢国会改革にも同意したと伝えられています。少しは気骨があるところもあるのかなくらいには同党のことを考えたりもしてきましたが、この党を過大評価する必要はまったくなさそう。私は、小沢国会改革と銘打って打ち出されているいくつかの論点のうち、最大の焦点は、内閣法制局長官の見解を否定することにあると思います(参照)。つまり、それは解釈改憲に大きく道を開く。この点で、社民がかかげてきた、彼らにすると、アイデンティティとしてきたはずの護憲もあやしいことになる。
阿部知子の上記の発言は、そうした含みをもっていると考えてみてはどうでしょう