普天間問題は重要局面に(まとめ)


普天間基地移転問題は、日米閣僚級作業グループでの検討と岡田外相の沖縄入りというひとつの重要な節目に今、あります。
民主党政権のとろうとしている方向が少しづつ鮮明になってきました。ここ数日の政府の対応をまとめてみます。

■日米協議の現状と政府の判断
この問題の現状にたいする認識は、以下のとおり。日米合意路線にたいする世論の強い反発と米国の圧力の板ばさみの中で、ついに嘉手納統合案が自論の岡田外相は旗をあげました。米側への屈服を表明したに等しい会見のもようが伝えられています。
自ら主張してきたはずの嘉手納統合案を「もともと難しい」というに至っては呆れてしまいます。同党の発言はこれまでもしばしば前言取り消しがみられましたが、いよいよ信頼できないことがはっきりしてきたように思えます。発言の一つひとつを疑ってかかる必要があります。

日米協議「もう限界」 岡田外相、普天間解決に危機感
岡田氏は岸本氏との会談で、これまで模索してきた嘉手納基地への統合について「難しい」と表明。「(現行計画は)日米間で煮詰まっていた話。元に戻って議論とはならない」「選択肢はもうない」などと、辺野古移設を受け入れるしかないとの考えを示した。

外相危機感、普天間「白紙なら米の信頼失う」
外相は同日、名護市などで民主党支持者らとの意見交換会に出席。会合では県外移設を求める声が相次いだが、外相は「皆さんの思いはわかったが、米国がかなり厳しい。現行案が白紙になれば、普天間の危険性は固定される」と述べた。

普天間移設:「県外」は時間かかり難しい 沖縄で岡田外相
移設問題で「県外移設は時間がかかり難しい。普天間飛行場を固定化していいのか」と強調した。集会後の記者会見では従来主張していた米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)への統合案について「もともと難しい」と指摘。キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)へ移設する現行計画を容認する姿勢を示唆した。

現政権の態度をある種、決定づけているのは米国の強硬な姿勢であることは否めません。4日の作業グループのもようが伝えられています。ですから、それまで国民向けに、期待をもたせるような発言をして、いわば二枚舌で対応してきた民主党と同政権は、「選択肢」がなくなり、方向づけをせざるをえなくなったということですね。
米国側の見方の一つが記事になっています(参照;米国はいつまでも鳩山政権にやさしくはない)。まあ、社民党の位置は、記事中がいうような重みをもっているとは私は思いません。現状を社民が規定しているということではなく、それをいうなら、沖縄の意思とそれを後押しする世論ということになるでしょう。

ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091205/plc0912050139004-n1.htm

沖縄県民の声
岡田外相を前にして、沖縄県民の意思は明確です。記事には、的確な反応が示されています。米国優先、これこそ民主党政府の考えていることだという指摘です。

「私たちより米大事か」外相に名護住民怒号
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091206-OYT1T00138.htm?from=main2

■マスメディアの反応
マスコミは下記の朝日社説に代表される、むろん日米合意に沿った解決を主張しています。

普天間越年―鳩山首相は自ら道筋を

一つの節目と冒頭でいいましたが、当ブログでも指摘してきたように、基地移転問題の帰趨が政権を揺るがすことになるという見方は、広がっているとみてよいようです。
朝日は、あの小泉の予言という格好で語らせています。

小泉元首相「鳩山政権は参院選までもたない」

■首相の認識
しかし、鳩山氏は二枚舌を使いつつ、こんな傍観者的な発言を繰り返す無責任を少しも理解していないようです。芥川龍之介ならば、こういいのでしょうか。
傍観者的な、余りに傍観者的な
と。

普天間移設で首相「グアムも検討」「辺野古生きている」

そして、このくだりが面白い(上記産経)。二枚舌の鳩山とそれに無邪気に反応する福島という図でしょうかね。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091205/plc0912050139004-n1.htm
鳩山首相は4日、「グアムに全部移設することが、米国の抑止力ということを考えたときに妥当か検討する必要がある」と記者団に語り、年内決着どころか、グアム移設も含め検討する考えを示していたのだ。福島瑞穂消費者・少子化担当相(社民党党首)は「選択肢の幅が明確に広がったことを大変歓迎している」と強調した。

日米合意は、自民党のやったことという逃げ口上は、許されない。政府の、とくに首相の明確な認識と態度が問われている。鳩山氏がしばしば口に出してきた「親密で対等な日米関係」の中身が問われている。
氏には、鳩山政権そのものが今、問われているという認識があるのでしょうかね。