官房機密費という金庫


官房機密費という金庫は、使い放題といってよい代物です。
以下の記事が伝える事実は、本来、自民党のいわば決定的な汚点なわけですから、民主党と同党政権は徹底して追及して余りあるものでしょう。しかし、民主党のそんな姿勢は微塵もみられないようです。

官房機密費、総選挙直後に2億5千万…共産党指摘
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091120-OYT1T00725.htm?from=nwla
共産党塩川鉄也議員は20日の衆院内閣委員会で、麻生前政権下での官房機密費(内閣官房報償費)の支払いに関する資料を提示した。
それによると、河村建夫官房長官(当時)が今年4月以降、毎月1億円を内閣府会計課長あてに機密費として請求していたが、8月の衆院選の2日後の9月1日には、2億5000万円と突出して多い金額を請求していた。
資料によると、麻生前政権下では4月以降、計8億5000万円が支払われた。機密費の請求は、5000万円を単位として行われていた。支出を決めた「決議書」には、使途についての記述は一切なかった。
塩川氏は内閣委で、9月の多額請求について、衆院選で苦戦が伝えられていた与党候補の選挙活動費の「後払い」だった可能性があると指摘した。
機密費は、官房長官の判断で国益に直結する情報収集などに使われ、「非公開」扱いとなっている。2009年度は、14億6165万円が計上されている。

金庫カラにし自民下野 機密費、突出の2.5億円支出
http://www.asahi.com/politics/update/1120/TKY200911200338.html

政権を引き継ぐ際の、多額のカネはどこに消えたのか。国会の外のわれわれも少なくなく興味を抱くのです。自民党が2.5億を引き出したのは投票日の2日後といいますから、まさに持ち逃げ的な行為ともいえる。機密費はしかし、使途を明記する必要もないらしい。使い勝手というもの。政権交代はこんな不可解も生み出したのですね。
平野官房長官は、引き継ぎ時にまったく残金はなかったといっているらしいので、持ち逃げに等しい。

これは国民の税金ですから、使途不明であってよいのかが本来、問われなければなりません。当ブログはこの間のエントリーで、攻守ところをかえた自民と民主なのですが、その政権に新しくついた民主党が野党時代とちがって、ほとんど自民党が政権をにぎっていたときの行状とかわらない態度をとっていることにふれてきました。
冒頭でのべたように、自民党が徹底して追及されるべき事態なのに、政権の姿勢に、民主党に力が少しもは医っていないのは、政権についた同党がこんどはこれを自らの意思にしたがって自由に使おうという魂胆がすでにあるからにほかなりません。
この問題でも、野党だった民主党は公開をもとめてきたのに、今日までの平野長官の答弁で明らかなように、自民党同様に明らかにする意思がないことを当初、のべてきましたね。世間の批判にあって、これまた前言撤回の挙に出ましたが、場当たり的な、いかにも方便らしくみえる態度に不信感が募ります。
そして、うがった見方をするなら、自民党政権時代に、この機密費の恩恵を民主党自身が受けたことがあったのではないか、とも思える。

すでに民主党が政権について以後、平野氏自身が9月、10月に続けて6000万円請求していますね。それなのに、官房機密費など知らないと彼は会見で答えてきたわけで、その二枚舌も厳しく問われなければなりません。民主党押し出しに役割を担ってきた山口二郎は自らのブログでこんな記事を公開しています。主党は本来、「政権交代可能な二大政党制」のために生まれでた政党なのですから、本質的に自民党と異なってはならないという枠組みの中にあるのでしょう。ですから、むしろ、ふらつきはじめたのではなく、本来の姿が徐々に現れてきていると考えるのが順当でしょう。

官房機密費は、政権についている限り公開する。これを約束するのが、民主党のとるべき態度ではないでしょうか。そして、徹底して消えた2.5億円の解明にあたるべきではないでしょうか。