言い訳じみてるな。


首脳会談での両トップのやりとりが、今、明らかになっています。前エントリーでふれように、鳩山氏は結果的に、可能なかぎり早く結論を出すとのべたのです。
そういわざるをえなかった背景について、読売が言及しています。

「普天間」早期決着、強く迫ったオバマ大統領

13日に行われた日米首脳会談で、沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、オバマ大統領が「時間がたてば、より問題の解決が難しくなる」と発言し、2006年5月の日米合意に基づいて早期に決着するよう鳩山首相に強く迫っていたことが14日、明らかになった。
大統領自ら強い調子で求めたことで、首相も早期に結論を出す、と応じざるをえなくなったようだ。
複数の関係者によると、普天間問題は大統領の方から切り出した。大統領は迅速な結論を求めただけでなく、「基本は守るべきだ」とも述べ、沖縄県名護市を移設先とする現行案の履行を明確に求めた。首相は大統領の発言に対し、「理解する」と応じたという。

結論を早期に出すとふれざるをえなかったのは、こんな事情があったのですね、なるほど。うなづける話ですね。
にもかかわらず、鳩山氏は、オバマ氏のいないところで、会談後の会見で自ら語った(可能なかぎり)早く結論を出すという立場とは、明らかに反すると周囲には受け取られかねない態度をとったようです。氏は、「年末までにと(大統領に)約束したわけではない」といったとか。
でも、これって国民には理解しにくい話です。約束したわけではないのなら、なぜ会談後の会見であえてあんな言い方をするのでしょうか。できるだけ早期に結論を出すなどと。メディアの記事をたどってみると、やはり読売が指摘するように、首相はオバマに詰められたのです。オバマの最大限の譲歩で、当日、鳩山氏が語ったような表現に落ち着いたのでしょうね。

もちろん、こんな経過があるものですから、メディアの指摘は以下のように、米国と日本国の首脳の「約束」を守るという視点から、鳩山氏の態度を問うています。
たとえば、このように。

鳩山首相、基地再編で問われる指導力=重い米大統領との約束

訪日したオバマ米大統領との首脳会談で、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)移設問題について「できるだけ早く結論を出したい」と確約した鳩山由紀夫首相。来年度予算案に関連経費を反映させるには年内決着が求められ、首相は決断を迫られている。しかし、首相は14日、外遊先のシンガポールで記者団に、来年1月の名護市長選後に結論を先送りする可能性を示唆。定まらない首相の姿勢は、大統領と確認した「強固な同盟」を空洞化させかねない状況だ。
 大統領は14日、アジア外交政策に関する演説で、普天間問題を協議する日米の閣僚級作業グループに触れ、「両国政府が既に達した合意を履行するためのもの」と説明した。これは、過去の経緯の検証を重視する日本側の立場は尊重するものの、代替施設の建設地を同県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部とした現行計画以外に選択肢はないという姿勢を明確にしたものだ。

普天間先送り発言、米の鳩山首相不信に拍車も

鳩山首相は14日、訪問先のシンガポールでの同行記者団との懇談で、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題について、「迅速な結論」で合意した13日の日米首脳会談から、一転して結論先送りの可能性に触れた。
米側は「首脳レベルでの公約は極めて重い」とみなしており、鳩山政権に対する不信感に拍車がかかるのは必至の情勢だ。
首相は、現行移設先の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を抱える沖縄県名護市長選(来年1月)の結果を見極めることも、改めて選択肢の一つだと述べた。選挙の結果、移設反対派が当選すれば、現行計画が暗礁に乗り上げる恐れが出てくることを「織り込み済み」と受け取られかねないものだ。

はっきりいえば、鳩山政権は立ち往生の事態にあるのではないでしょうか。
盟主米国の大統領の前では、早期に結論を出すといいながら、片方で、あとで申し訳をのべるというのは、どうみても納得はえられない。首相はいったい、日米合意に沿うつもりなのか、そうではなく、米軍基地の国外撤去を伝えるのか、論点は最初から明らかなのに、態度決定はあとにあとに先送りされていく。

民主党政権の態度は少なくとも、沖縄県民の願いを実現させる方向に収斂されているのはなく、しだいにその願いとはかけ離れていく、それがこの間の事態の推移ではないでしょうか。
鳩山氏のシンガポールでの発言は、いよいよそれをとりつくろう姿勢のみが透けて見えてくるのではないでしょうか。
鳩山さん、それじゃあオバマの前でそのことをはっきり伝えればよかったのに。何をいまさら。
そんな態度を欺瞞だというのではないでしょうか。