献金疑惑に応えることが先。


これまでの小沢の提案は、どうも先ごろ済ませた訪英での経験を、そっくり日本に置き換えようとする発想がどこかに残っているようなものですね。小沢が陣頭指揮をとり、それに則って国会改革を断行しようとする腹なのでしょうが。その上、ちゃっかり、政治資金も課題として入れているようです。

「政治改革本部」、トップに小沢氏 民主、まず国会改革案

民主党は9日の役員会で、国会や選挙、政治資金の制度改革案を検討する「政治改革推進本部」の新設を決めた。本部長には小沢一郎幹事長、本部長代行に輿石東幹事長職務代行がそれぞれ就任し、幹事長室主導の体制となった。小沢氏自らが陣頭指揮を執り、まずは官僚答弁禁止など国会改革案をまとめる。

小沢氏は同日、海江田万里氏に事務局長への就任を要請。国会改革の具体策を早期にまとめ、一部は議員立法で今国会提出をめざすよう指示した。

面の課題は官僚答弁禁止と行政監視強化、国会会期の通年化など。続いて、戸別訪問の解禁、選挙活動へのインターネット利用を検討する。衆院選マニフェスト政権公約)に掲げた企業・団体献金禁止の具体策も練る。

でも、おかしな話ですよね。
小沢、鳩山とつづいて自らの政治資金問題が発覚し、世間も注目しているにもかかわらず、それにも自らの態度をなんらはっきり表明することなく今日に至っているのに。政治改革本部の新設の前に、まず自らはっきりさせるべきことでしょう。
秘書の初公判が12月に予定されています。「企業・団体献金禁止の具体策」を練るといっても、これは企業・団体献金を禁止する決断をするかしないか、の問題でしょう。自らの疑惑を前にして、もうとっくに、一度は企業・団体献金を全面禁止といってみた小沢なのですから、それこそ小沢の「トップダウン」を発揮すればよい。

一連の流れをみると、国会改革を小沢がまず打ち上げ、そして民間の団体にすぎない21世紀臨調にも国会改革についての提言を発表させる(という理解が広がっている)という段取りが踏まえられています。その上での、政権党であるとはいえ、一政党が国会改革案をまとめるという今回の記事です。

もっとも懸念するのは、小沢の国会改革では、国会の固有の任務であるはずの国政調査権を縮小しようとする魂胆が透けてみえ、国会の機能が極端に弱まるということです。しかも、通年国会は与党にとって、法案を通過させる最大の手法でしょう。これまでの審議未了・廃案などという概念はふっとんでしまう。多数を握ったものが、政府提案の法案をすべて、ストップさせる便法だといえるでしょう。
今回の「政治改革推進本部」新設というのは、比喩的にいえば、民主党という一政党が国会を改革するという一事業に乗り出す上でのしくみづくりという、最初のステップが示されたということでしょう。それにしても、小沢という男は政治改革がほんとに好きな男ですね。これまでの政治資金規正法「改正」、政党助成法をめぐる彼の動向があらためて思い出されます。
(「世相を拾う」09254)