所信表明で先送りするな。。


26日は国会開会日でした。政権が自民党から民主党にかわったのですから、当然、首相の所信表明演説に注目が集まりました。
長かった。もっぱら評判ですね。それだけではなく、長年の自民党政権から民主党にかわったというところに着眼する人は、その意味で歴史的な演説という印象をもつでしょう。
私はそれに与することはありませんが、しかし、歴史的な所信表明であったということは確実だろうと思います。それは鳩山氏の演説の内容がよかったか否かを超えるところにあるのではないでしょうか。
つまり、総選挙の勝利者は国民一人ひとり、今こそ日本の歴史を変える意気込みで、国政の変革に取り組むと、主張した首相があったでしょうか。なかった。
氏自身がいうように、こんな演説をさせるほどの総選挙の結果であって、鳩山氏にそうさせたのは、むろん国民だということです。
国民の意思を無視しえない国会の状況を現につくり出しているという意味で歴史的であり、その結果の首相の所信表明演説だと思いました。

ただし、鳩山首相のこうした決意がそのまま実行に移されるかどうかは、今後にかかっている。来年の参院選までの期間は、普通に考えると解散がない以上、選挙はありえないのですから、国民がいかに国会を監視し、国民の考える方向に、民意の側に国会を動かすことができるかどうかにかかっています。

鳩山氏は大上段に先ほどのべたような決意を示したのですが、演説からは、具体的な課題でどう考えているのか、はっきりせず、私は釈然としない思いで演説を一部聞き、全部を目で眺めました。

民主党に期待した人すべてが、以下の問題で期待を寄せたとは思いません。自民党にかわりうる、もっとも近道という意味で民主党を選択した人がいて、その割合を私は無視できないと考えていますし。そうであっても、中には、雇用の現状を打開し、誰もが安心して働ける環境をつくってほしいとか、後期高齢者はこの際、撤廃してほしいとか、あるいは沖縄の米軍基地移転をやめ基地撤去をめざすべきだと考えている人、大企業の身勝手を許してはならない、そのために民主党に働いてほしいと考える人など、民主党の圧倒的な議席獲得は少なくともこうした人びとにも支えられていると考えてまちがいなかろうと思います。

少しは民主党がこうした期待を寄せた人びとに応えうるだろうと考えている私ですが、鳩山氏の所信表明から適切な回答が明らかにされたわけではありません。その限りで、この政権がはたして国民の期待に応えられるか、半ば疑問符をつけないといけないような率直な想いを抱きました。問題は、先送りにされた実感が強い。後期高齢者医療制度見直しは先送りということでしょう、廃止に向けて新たな制度の検討をすすめるというに留まったのですから。結局、これは廃止の先送りにすぎません。
雇用環境もまた、しかり。派遣法の抜本改正を当ブログでも主張してきましたが、ついぞその言葉は首相の口から出ることはありませんでした。
沖縄の基地問題で、政権が揺れているのは日々の報道で明らかですし、当然、首相はこの問題で踏み込むことはできません。具体策は提示されなかった。

私が民主党現政権に期待する以上の問題で(所信表明演説で)進展がないことが、はたして首相自身が語った国政の変革に取り組むという姿勢の表明とどのように結びつくのか、これは解けない難問のようです。

国会ははじまったばかりです。国会内の論戦に関心をもつだけでない、国会の外から平たくいえば圧力をかける行動を考えないといけない、そのことがはっきり明らかになった所信表明だといえるのではないでしょうか。
監視を強めないと、圧力をかけないと、問題は次々に先送りされそうな状況でもあるのです。一部では長妻氏がすでにミスター検討中などと揶揄されているくらいですから。
期待外れを私たちは望んでいるわけではないでしょうから、さまざまな意思表示を政府にぶつけなければなりません。