政権に擦り寄るという昔からの考え方


医師会というのは、単純だということをあらためて示した一件ですね、これは。
何日か前のエントリーでふれましたが、やはりそのとおりでした。つまり、自民党が下野したので、支持政党を自民党とは限定しないということ。いいかえれば、依然、この医師会という組織は政権政党にすり寄るという点そのものを考え直そうとしてはいないということです。

自民支持を白紙撤回=「政権与党」でない−日本医師連盟

日本医師会(日医)の政治団体である日本医師連盟(日医連、委員長・唐沢祥人日医会長)は20日に開いた執行委員会で、従来の自民党支持の立場を白紙撤回する方針を決めた。日医連は「政権交代により、『政権与党である自民党』の支持を掲げた活動指針と合わなくなったため」と説明しており、社会保障費削減を続けてきた小泉政権以降進んでいた日医の自民党離れが決定的となった。
 一方、来夏の参院選比例区自民党から出馬する現職の組織内候補、西島英利氏については「医師の代表として支えていきたい」として、現時点では引き続き推薦する考え。民主党などの候補者から推薦依頼があった場合は、マニフェスト政権公約)などをみて検討するという。 
 今後、新たに支持政党を決めるかは未定。同日了承された今後の方針では、(1)多様な価値観を認め、是々非々で行動する(2)日医による与野党との良好な協議関係の構築を支援する−としている。
 先の衆院選では、茨城県などの医師連盟が日医連から離反し、民主党候補を推薦。19日には茨城県医師会の原中勝征会長が、来春に予定される日医会長選への出馬の意向を表明した。

自民支持の白紙撤回という態度変更の理由は単純明快。ただ自民党が政権党でなくなったという一点です。そもそも政権党であった自民党支持を組織の構成員たる医師に押し付けてきた点についての反省はみることができません。ということは、これから政権党である民主党を支持する可能性を示唆しているということに尽きるでしょう。その点でいえば、先のエントリーでふれたすでに日医会長選への出馬を表明している茨城県医師会会長もかわるとことはないというのが私の見立て。
ようは、医師会というのは長いものには巻かれろという思想から抜け出してはいない、権力に擦り寄る、この点が行動の規範になっているかのように思えます。日医連盟の態度変更は、茨城県医会長の強調点を打ち消すための動きとみて狂いはないように私は思います。いずれにしても、最大の医師の団体である日本医師会に関係する政治団体が、旧態依然たる現実をあらためて私たち国民の前にさらしたのではないでしょうか。
すなわち、医師である自分たちの権益を守るには権力の力を借りるほかの道はない、こう思い込んでいる。これは少しもかわらないということです。

もちろん、まず問わなければならないことは、日医と日医連盟の関係です。
医師会会員をいわばその(自民党支援の)政治団体である日医連盟に強制的に加入させてきたわけですから。ただ自らの権益を守るという点で日医=日医政治連盟が時の政権政党(=自民党)への後援会加入を構成員たる医師に半ば義務づけ、組織てきた歴史は消そうにも消すことはできません。

外形的には、その自民党が今回は政権をとった民主党に変わろうとするということを意味するだけで、大事なことは、医師の最大の集団である医師会が、自らの権益を守るために時の政権党に擦り寄ってきたということについては、一顧だにされないという点ではないでしょうか。
そして、その点は、権力に擦り寄る、つまりお上のいうことには従うという、(日本的)慣習をもっともよく表しているのではないでしょうか。
(「世相を拾う」09227)


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